Dressed To Kill / Blow Out

ブライアン・デ・パルマ(Brian de Parma)監督の作品のビデオを2本 購入しました。どちらも公開時に劇場で見ています。 Body Double という作品も見ましたが、これは、失望した思い出以外 あまり記憶に残っていません。ここに取り上げた2作品はどちらも 好きで、どっちがいいかきかれるととても困ってしまいます。

殺しのドレス(Dressed To Kill)

ヒッチコックの「サイコ」を意識して作られた作品です。 オープニングの幻想的なシャワールームのシーンは非常に端正で 美しくしかもエロチックです。バックの音楽もとてもいいです。 一気に観客の心を引きつけてしまいます。その後の、欲求不満の 人妻(アンジー・ディッキンソン)と見知らぬ男との美術館での 駆け引きの部分、これがこの映画でぼくの一番好きなところです。 ぼくが欲求不満なだけでしょうか(笑)。アンジー・ディッキンソンって いいですねぇ。ここまでの15分くらい(?)のところだけで、 十分お金を払う価値があります。

てっきり主人公だと思っていたこの人妻が突然(ほんとに突然!) 剃刀で殺されてしまうところはとてもショッキングです。 ここで、主人公がナンシー・アレンに変わってしまうわけですが、 彼女がエレベータの中で倒れている血塗れの人妻に手を差し伸ばすシーンも すごく怖いです。鏡が非常に巧みに用いられています。

ナンシー・アレンもロボコップのときよりずっと可愛いです。

ラストにまたシャワーシーンをもってくるところがたまらなく いいです。しかもまたメディスン・キャビネットの鏡がうまく 使われていて、これを見た後しばらくは夜洗面所に行けなく なりそうなぐらいです。

ミッドナイト・クロス(Blow Out)

な、な、な、なんとこの映画もシャワールーム(今度は 女子寮の中)の殺人シーンではじまります。実は、これは映画の 1シーンという設定で、その映画の音声を担当しているのが主人公の トラボルタ(アメリカではまたグリースがリバイバル上映されて いるそうですね、ぼくも昔4、5回見ました。また見たいな)です。

「殺しのドレス」でも、被害者の息子が機械いじりが好きで、 カメラを使って犯人を探そうとしていましたが、この映画で も、トラボルタが偶然目撃した自動車事故の謎を解くために 録音テープや雑誌に載った写真を再撮影してつくる パラパラアニメ風の映像を駆使するところがとても 面白いです。デ・パルマ監督の好みなのでしょう。

この映画の好きなところはふたつあります。ひとつは、 事件が悲惨な結末を迎えるのにも関わらず、主人公たち (トラボルタとナンシー・アレン)の背景で美しく炸裂する 独立記念日(?)の花火(これはビデオではちょっと物足りない、 やはりスクリーンで見るのとではだいぶ違います)です。 もうひとつは、さらにその後でわれわれを待ち受けているあまりにも皮肉な ラストです。具体的な内容はここで書くわけにはいきません。 ですが、こんなに悲しいエンディングは見たことがありません。 すごいアイデアだと思います。ここに持ち込むために、途中ずいぶん 無理な筋立てになっていますし、主人公達のとる行動のあまりの 無思慮さにいら立つこともありますが、このラストのためなら なにもかも許せます。

チャンスがあればぜひ見てください。


[1999/10/30] レンタルビデオで、 「スネーク・アイズ」を観ました。 最後の「アレ」で、ついもう一度見直してしまいました。 そんなにドキドキしたり、すごいクライマックスがあるわけではないですが、 2度観ても、十分楽しめました。 事件がおきるまでの主人公は、演技過剰で気に入りませんが、 そのあとからはとてもいいですね。 それから、黒い髪の女性の、とても目が悪そうな表情がとても魅力的でした。 主人公も、この女性も、とても純粋な心の持ち主であり、観終わっていい気持ちになりました。 映像的には、いかにもデ・パルマ監督らしい映画です。

[???]出張中の宿のテレビで、「キャリー」を観ました。 デ・パルマのファンですが恥ずかしながらまだ未見でした。 なるほど……、これがあのうわさのラストですか……。 心臓が止まるかと思いました。

[2004/4]『キャリー』: 以前テレビで観ましたが、最初の所を見逃していたので、放送を録画して観ました。 ラストは、初めての時のようなショックはもう感じませんでした。 あまりにも痛々しい映画なのでオススメマークはなしです。

[2004/4]『殺しのドレス』『ミッドナイト・クロス』: どちらもビデオを持っていますが、DVDも欲しかったので購入しました。 どちらもやはり傑作です。「殺しのドレス」には特典映像もいっぱい入っていて、 とても興味深かったです。最初の美術館シーンは、外側はメトロポリタンだけれど、 建物内の撮影は、ニューヨークでは許可がおりず、フィラデルフィアの美術館で 撮影された、なんていうのは全然知らなかったです。行けるかどうかわかりませんが、 フィラデルフィアに行くことがあれば(昔一日だけ研究集会参加で行ったことがある)、 この美術館と、「ミッドナイト〜」関連のロケ地など、歩いて観たいと思います。




映画のページに戻る