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小テスト:p(t)=(cos 3t, sin 3t) (0≦t≦π/6) の 弧長パラメータによる表示を求めよ。

平面曲線の曲率

何回でも微分可能な曲線 p= p(t) (a≦t≦b)が与えられており、 常に |p(t)| > 0 と仮定します。 前回、この曲線を弧長パラメータsでパラメータ表示できることを観察しました:
   p=p(s),    0≦s≦L
ただしLはこの曲線の長さです。

命題:|p'(s)|=1である。 つまり、p’(s)は単位ベクトルである。

この単位ベクトルを e(s) で表します: e(s)=p’(s)。 単位ベクトルなので、このベクトルとx軸の正の向きのなす角度をθ(s)とおくと、
   e(s)=(cos θ(s), sin θ(s))
と書けます。θ(s) は2nπだけのあいまいさがあることに注意してください。

定義:曲率(関数)κ(s)=θ’(s)

これは曲線の曲がり具合を表す量です。

e(s)=(cos θ(s), sin θ(s)) を反時計回りにπ/2回転してえられるベクトル
   n(s)=(-sin θ(s), cos θ(s))
を考えます。つまりn(s)は進行方向左向きの単位法線ベクトルです。

命題:e’(s)=κ(s)n(s)

この命題は合成関数の微分を使って左辺を計算することにより得られます。

命題:κ(s)=det(p’(s), p”(s))

ただし右辺は各ベクトルを縦ベクトルと思って並べて得られる行列の行列式です。 証明は右辺が κ(s) det(e(s), n(s))になることと det(e(s), n(s))= 1 を用います。

曲率の計算方法:
  1. θ(s)を具体的に求めて微分する。
  2. e’(s)=κ(s)n(s) を調べる。
  3. 公式 κ(s)=det(p’(s), p”(s))を利用する。

いずれの方法も、曲率をsの式で与えます。最終的にtの式で表すには、 s=s(t) を代入する必要があります。




演習

以下の例で、曲率を計算しました。

  1. p(t)=(2t-1, 3t+5)  (2≦t≦4)    =>  0
  2. p(t)=(3 cos t, 3 sin t)  (0≦t≦2π)    =>  1/3
  3. p(t)=(r cos αt, r sin αt)  (0≦t≦?)    =>  1/r

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