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幾何学II・幾何学演習II

図形のホモロジー群・オイラー標数

与えられた図形 X をなんらかの意味で分割して鎖複体 C を作る方法として、 単体分割による方法、セル分割による方法のふたつを学びました。 鎖複体が得られれば、そこから各整数 p に対して、 p次元(実係数)ホモロジー群が定まります。 実は X がよい空間であれば、得られるホモロジー群は分割の仕方に よらないことが知られています。これを Hp(X;R) と書き、 図形 X の p次元実係数ホモロジー群と呼びます(pは整数)。

Hp(X;R) の次元をβpとかき、X のp次元ベッチ数と呼びます。 また、元となる Cp の次元(単体分割の場合はp単体の個数、 セル分割の場合はpセルの個数)をρp と書くことにします。 一般に βp と ρp は一致するとは限りません。 しかし次の定理が成り立ちます(証明は次週)。

定理: β0 - β1 + β2 - β3 + …… =  ρ0 - ρ1 + ρ2 - ρ3 + ……

この一致する整数を X のオイラー標数といいχ(X)と書きます。

ふたつの図形が位相的に同型であるならば、ベッチ数やオイラー標数は一致します。