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数の体系・実数の性質


数の体系

具体的な集合の例として色々な数の集合について学びます。 これらには次のような包含関係があります。

   NZQR


実数の性質

E はRの部分集合で、空集合ではないものとします。 また、 c は実数とします。

定義:c が E の上界であるとは、

  ∀x (x ∈ E ⇒ x ≦ c )

が成立することと定義します。

命題:c が E の上界ではない ⇔ ∃x (x ∈ E ∧ (x > c) )

※ ここでは関係ありませんが、一般に不等式が与えられた場合、暗黙の了解として 両辺とも実数値であると解釈します。

次のような略記法を用いることもあります: この書き方を用いると: となります。そのほかにも、誤解のおそれがない場合は、同様の略記法をどんどん使ってかまいません。

例:E = (1,2) 開区間 とします。


演習

前回の課題について:

以下の命題6”、6’、6を式で表しなさい。 またおのおのの否定を作りなさい。

命題6”
次を満たすような自然数Nが存在する: x>Nであるようなすべての実数 x に対して (1/2)x< 1 が成りたつ。

命題6’
任意の正の数εに対して、次を満たすような自然数Nが存在する: x>Nであるようなすべての実数 x に対して (1/2)x< ε が成りたつ。

命題6
0 < a < 1 であるならば、任意の正の数εに対して、次を満たすような自然数Nが存在する: x>Nであるようなすべての実数 x に対して ax< ε が成りたつ。

解答
6”: ∃N (N∈N∀x( x>N ⇒ (1/2)x< 1 ))

6’: ∀ε(ε>0 ⇒ ∃N (N∈N∀x( x>N ⇒ (1/2)x< ε))

6: ∀a( 0<a<1 ⇒ ∀ε(ε>0 ⇒ ∃N (N∈N∀x( x>N ⇒ ax< ε))
または連続する∀をまとめて  ∀a,∀ε(0<a<1 ∧ε>0 ⇒ ∃N (N∈N∀x( x>N ⇒ ax< ε))

さらに、上で述べたように簡略化すると

6”: ∃N ∈N∀x>N((1/2)x< 1 )

6’: ∀ε>0( ∃N ∈N∀x>N( (1/2)x< ε )

6: 0<∀a<1( ∀ε>0( ∃N ∈N∀x>N( (1/2)x< ε )
 または 0<∀a<1,∀ε>0( ∃N ∈N∀x>N( (1/2)x< ε )

否定に関しては省略します(タイプに疲れました)。 限定命題の否定の典型的なパターンはつぎのふたつであることを使って下さい: