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開集合・閉集合 (1)

最初に、全回までの議論をn次元の空間に拡張して、 2点の距離 d(n)(x,y) (ユークリッドの距離、普通の距離などと呼ばれる)を導入しました。 そして、この距離が次の3つの性質をみたすことを証明しました:
D1: d(n)(x,y)≧0
   d(n)(x,y)=0 ⇔ x=y
D2: d(n)(x,y)=d(n)(y,x)
D3: d(n)(x,z) ≦ d(n)(x,y)+ d(n)(y,z)  (三角不等式)
この性質は必ずおぼえて下さい。
Rnにこの距離を与えたものを「n次元ユークリッド空間」と呼びます。

n次元ユークリッド空間Rnの点 a と正数εが与えられたとき、 「点 a のε近傍」N(a;ε) を次のように定めます:
   N(a;ε) = { x ∈ Rn | d(n)(x,a) < ε } これは、n=1のときは開区間(a−ε, a+ε), n=2 のときは中心a 、半径εの開円板、 n=3 のときは中心a 、半径εの開球体となります。一般のnのときも、 これを中心a 、半径εの開球体と呼ぶことにします。

定義:Rnの部分集合が次の条件をみたすとき、Rnの 開集合であるという:
  ∀x∈U ∃ε>0 (N(x;ε) ⊂ U)



レポート課題:x=(x1, x2, …, xn), y=(y1, y2, …, yn) ∈ Rn に対して, 次が成り立つことを証明せよ:
   |x1−y1| + |x2−y2| + …… |xn−yn| ≦ n ‖ x − y ‖