国際交流基金アジアセンター主催
アジア映画シリーズ(8)

中国映画展1999/Chinese Film Week 1999

(1999年12月2日〜12月8日、赤坂・国際交流フォーラム)
詳細はアジアセンターの情報ページ http://www.jpf.go.jp/j/others_j/whats_j/9911/11-02.html で見ることができます。

2(木)   草の家
3(金)婦人会の男主任白毛女三人の李さん榕樹(カジュマル)の丘へ
4(土)金婚式草の家シンポジウム
「中国映画の50年」
遥かな想い
チャイニーズ・ドリーム in U.S.A
5(日)婦人会の男主任生命のピアノ遥かな想い
チャイニーズ・ドリーム in U.S.A
セピア色の愛
6(月)セピア色の愛變臉(へんめん)
この櫂に手をそえて
三人の李さん生命のピアノ
7(火)生命のピアノ黄色い大地白毛女金婚式
8(水)金婚式草の家遥かな想い
チャイニーズ・ドリーム in U.S.A
婦人会の男主任

1999年12月4日(土)、一日中国映画に浸って過ごしました。 プログラムは上のとおりです。

(1) 金婚式 (金婚/Gold Marriage)

中華人民共和国建国50周年を、ある老夫婦の結婚生活50年とからめた家族ドラマ。 見ながら、自分の両親のこと、これからの自分達のこと、…… などいろいろ考えさせられてしまいました。 夫婦・親子のコミュニケーションのむずかしさ、 娘の大学受験に熱中する母親(主人公たちの長女)の姿なども描かれています。 「建国50周年」というのは監督の王坪(ワン・ピン)さんにあらかじめ 与えられたテーマだったのですが、それはあまり表に出さず、むしろ 自身の両親に見てもらいたいと思って作った映画だそうです。

個人的には、父親の手術費用を捻出しようと歌手のアルバイトをする女の子 (主人公たちの孫娘)が寧静(ニン・チン)と浜崎あゆみを足して2で割ったような かんじで、とてもかわいかったです(^^;。


(2)草の家 (草房子/Thatched Memories)

これは、傑作です! (少年モノに弱いたちなので、 その分割引して読んでいただいたほうがいいかもしれませんが……。) 始まる前に、通路をはさんで隣にいた女性が、その友人に、 「1回みたんだけど、面白かったわよ。 だけど、私、途中で眠っちゃうかもしれないけど…」 と話していたのが聞こえたので、退屈な映画なのかなと思っていましたが、 全然退屈するような映画ではありませんでした。

原作者であり脚本も担当された曹文軒(ツァオ・ウエンシュワン)さんによれば、 九つのエピソードからできている原作から、自分の院生たち (曹さんは北京大学の教授)にアンケートをとって好評だったものを選び出し、 脚本をかいたそうです。

舞台は文化大革命直前の田舎の村の小学校です。 主人公桑桑(サンサン・小4くらい?)はその小学校の校長の息子です (実際に作者のお父さんは校長先生だったそうです)。 彼と、出生に秘密をもつ薄幸の美少女紙月(ジーユエ)・ 村一番の金持ちの息子小康(シャオカン)・ うまれつきはげ頭のハゲ鶴たちとのエピソード、そして、 彼らの担任教師の村娘との恋、最後に、サンサンの病気やよい 医者を探してかけずりまわる父親の姿などがテンポよく物語られていきます。 いっぱい笑わせて(特に体操のシーンや芝居の舞台稽古のシーン)、 いっぱい泣かせる映画です。

「草の家」というのは主人公たちの住むわら葺の屋根の家のことを表現しているようです。 主人公が屋根の上にのぼるシーンが、たびたび、でてきます。 このような家はもう見当たらなくなってしまったため、 ロケ地としてある小島を選び、そこに実際に家を作って撮影を行ったそうです。 また、原作の出版が1998年で、映画は1999年の10月の 50周年記念の映画祭に 間に合わせるために、撮影期間は4ヶ月程度の非常に短いものになってしまったそうです。 このため、原作では色々な季節が描かれているのに、映画ではそうできず、 原作者として非常に残念だったと曹さんは話していました。

この原作は日本でも翻訳され出版されるようですので、ぜひ読んでみたいと思います。 原作のほうでは、映画と異なり、ドラマチックになるのを意図的におさえているそうです。


(3)シンポジウム「中国映画の50年」

パネリスト:
王坪、曹文軒、馬徳和、崔洋一、堀越謙三、刈間文俊

(4)遥かな想い -- チャイニーズ・ドリーム in U.S.A.(不見不散/Be There or Be Square)

これ、中国で大ヒットということですごく期待していたんですが、 それほどでもなかったです。 ただ、それは、中国語がわからなかったせいもあるかもしれません。 ぼくの隣は中国人の若い女性でしたが、随分笑っていました。 前提となる一般常識がないとそのおかしさがわからないことってありますから。 例えば、最初のあたりで「ニューヨークの北京人」へ言及するせりふがありますが、 これが監督・馮小剛(フォン・シャオカン)の大ヒットとなったテレビドラマだと知らないと、 何がおかしいのかわかりませんよね。 この監督さんは、「太陽の少年」の中で、 フー先生として特別出演したあの人です。 また「太陽の少年」を意識しているのかどうかわかりませんが、 映画の中で「憶苦思甜」ということばがでてきます。 これは『昔の苦しみを思い、今日の幸せをかみしめる』という意味なのですが、 同じことばが「太陽の少年」でもでてきて、 憶苦(イクー)・思甜(スーティエン)という兄弟の名前として使われました。 また『毛主席の名前に誓って…』というせりふが、この映画でも使われています (まあ、これは、非常によくつかう表現なのかも知れませんが)。

内容は、カリフォルニアにやってきた若い女性李清(リー・チン)が、 偶然知り合いだった劉元(リウ・ユアンにあうたびに)、 悲惨な事件にまきこまれるという話です。 上でも書きましたが、このふたりの会話がこの映画のメインの面白さで、 字幕だけでも、例えば、リー・チンがリウ・ユアンに塾での教授法を注意しようと するのが、最後にはなにやらいいくるめられて、逆にやりこめられ、 「なんで、こうなるの?」というシーンなんかは笑えました。

主演女優の徐帆(シュイ・ファン)さんはとてもきれいな人で、 先月観た「スパイシー・ラブスープ」にも出ていました。 サイン会も開かれていましたが、疲れ果てていたので、家に帰りました。



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