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ガウス・ボンネの定理




測地線

曲面p(u,v)の上の曲線q(t)が与えられたとします。 その弧長パラメータをsとし、(空間曲線としての)加速度ベクトルq"(s)が常に 曲面に対して垂直であるとき、その曲線は測地線であると呼ばれます。

曲面上の2点を結ぶ曲面上のなめらかな最短曲線が存在すれば、それは 測地線になっています。逆に測地線ならば、2点間をむすぶ最短曲線になっているかと いうと、それは必ずしも正しくありません。例えば、東京から岡山に地球の反対をぐるっと 回って結ぶ大円の弧を考えると、それは測地線ですが、最短曲線ではありません。 しかし、どの測地線も十分小さい部分に制限してみると、最短曲線になっています。

曲面上の異なる3点を結ぶ3本の測地線で囲まれた有界閉集合が、 位相的に普通の平面三角形と同じ(同相・位相同型)であるとき、この集合を 三角形と呼ぶことにします。平面三角形の内角の和はπですが、 一般の曲面の上の三角形では次の定理がなりたちます:

定理 (ガウス・ボンネの定理1) 曲面の上の三角形△ABCの内角の和に関し次の式が成り立つ:

    ∠A+∠B+∠C = π + ∬△ABC K dA

ただし、K はガウス曲率であり、dA はこの曲面の面積要素である。

「境界」のない有界閉集合になっているような曲面を閉曲面といいます。 例えば、トーラスや球面はその例になっています。 閉曲面は有限個の三角形に分割することができます。もちろん、分割の仕方は 無限にあります。さて分割をひとつ固定して、

    (頂点の数)−(辺の数)+(面の数)

を計算してみます。この数に対して次の公式が成り立ちます:

定理 (ガウス・ボンネの定理2)  (頂点の数)−(辺の数)+(面の数)= (1/2π)∬ K dA

右辺は分割によらない式ですから、この定理により左辺も分割の仕方によらないことが わかります。この値をSのオイラー標数といい、χ(S)と書きます (χはギリシャ文字で「カイ」と読みます)。


演習