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幾何学II
■小テスト
■閉曲面のワード表示の変形(3)
教科書 p.39の2(ii)
閉曲面の多辺形展開表示またはその式による表示が与えられたときに、 標準の形(1)(2)(3)に変形する方法をまとめました。
(1) aa-1 = S2
(2) a1b1a1-1b1-1 a2b2a2-1b2-1 …… anbnan-1bn-1 = T2#T2#……#T2 (n個)
(3) c1c1c2c2……cmcm = P2#P2#……#P2 (m個)講義で、うっかりあるステップをとばしてしまったので、 そこを補って詳しく説明します。 まず、次の準備をしておかなければいけませんでした。
準備:
- a b a-1 b-1 の形の「基本部品」は式の中の任意の位置に 移動できる:
A B a b a-1 b-1 C → A a b a-1 b-1 B C
- c c の形の「基本部品」も式の中の任意の位置に移動できる:
A B c c C → A c c B C説明:
- A B a b a-1 b-1 C
= b-1 C A B a b a-1
→ b-1 B a C A b a-1 CA を a の後ろに移動した
= b-1 B a C A b a-1
→ b-1 B a b C A a-1 CA を b の後ろに移動した
= b-1 B a b C A a-1
= b C A a-1 b-1 B a
→ b a-1 C A b-1 B a CA を a-1 の後ろに移動した
= b a-1 C A b-1 B a
→ b a-1 b-1 B C A a CA を B の後ろに移動した
= b a-1 b-1 B C A a
= A a b a-1 b-1 B C
- A B c c C → A c B-1 c C → A c c B C
変形方法:
- まず、各辺のペアの中に同じ向きの辺があるかどうかを調べます。 同じ向きの辺があれば、(3)の形になります。なければ、(1)(2)のいずれかになります。
- 同じ向きの辺のペアがない場合
- まず、隣同士キャンセルできるペアがあれば、どんどん消していきます。
- もうこれ以上キャンセルできない状態になったとき、残っているのがただひと組のペア aa-1 または a-1a であれば(1)です。
- もし、二組以上のペアが残っている場合、必ず、
…… a …… b …… a-1 …… b-1 ……
のように「絡んでいる」ふたつのペアが見つかります。もしそういうものがなくて、 どのふたつのペアも
…… a …… b …… b-1 …… a-1 ……
のように一方が他方を挟む形になっていれば、最も内側のペアがキャンセルできるはずです。- この場合、次のように aとbを先頭に集めることができます:
A a B b C a-1 D b-1 E 逆向きの a に挟まれる部分を巡回的に並べ替える
→ A a b C B a-1 D b-1 E
= A a b C B a-1 D b-1 E 逆向きの b に挟まれる部分を巡回的に並べ替える
→ A a b a-1 D C B b-1 E
= b a-1 D C B b-1 E A a 逆向きの a に挟まれる部分を巡回的に並べ替える
→ b a-1 b-1 E A D C B a
= a b a-1 b-1 EADCB
このとき、A, B, C, D, E のおのおのの部分は個別には何も変化せず、位置関係だけが 並び変わっていることに注意してください。- EADCB の部分には逆向きの辺のペアのみがはいっています。 キャンセルできるものがあれば、どんどんキャンセルします。
- キャンセルできなくなった段階で、a b a-1 b-1しか残っていなければ T2ですし、そうでなければ、 新たに絡み合ったふたつのペアが見つかります。 それに対して、B-4の操作を行います:
a b a-1 b-1 A' c B' d C' c-1 D' d-1 E'
→ c d c-1 d-1 E'a b a-1 b-1 A'D'C'B'
さらに準備で述べたようにa b a-1 b-1 を先頭に出すことが できますから、結局
a b a-1 b-1 c d c-1 d-1 E'A'D'C'B'
と変形できます(このステップを講義で飛ばしてしまいました!)。- E'A'D'C'B' の部分には逆向きの辺のペアのみがはいっています。 キャンセルできるものがあれば、どんどんキャンセルします。
- キャンセルできなくなった段階で、 a b a-1 b-1 c d c-1 d-1 しか残っていなければ T2#T2ですし、そうでなければ、 新たに絡み合ったふたつのペアが見つかります。 それに対して、B-4の操作を行います……
- これを繰り返していけば、かならず(2)の形に変形できます。
- 同じ向きの辺のペアがある場合
- まず、キャンセルできる辺のペアは全部キャンセルします。
- 次に、同じ向きの辺が隣同士になるように変形します:
A c B c D → A c c B-1 D- 同じ向きの辺がもっとあればそれらも隣同士にします。 このとき、すでに隣り合っている同じ向きの辺が離れることはありません。
- 上の準備で述べたように、cc の形の基本部品は任意の場所に移動できますから、 このようなかたちの部分を先頭に集めます:
c1c1c2c2……cmcm X
Xの部分には逆向きの辺のペアしか残っていません。- X の部分で、キャンセルできるペアがあれば全部消します。皆、消えれば(3)の形に なっています。もし、ペアが残ったら、必ず、絡み合ったふたつのペアが見つかります。 それをB-4のようにして先頭に集めると
a b a-1 b-1 …… c1c1……cmcm ……
の形になります。再度 cc の形の式を先頭に出すと
c1c1……cmcm a b a-1 b-1 X'
となります。X' の部分には逆向きの辺のペアのみがはいっています。- X' の部分でキャンセルできるペアを全部消します。 もし、全部消えなければ、その中からさらに絡んだ2つのペアを見つけ上のように操作を 行い、さらに準備の方法を用いて、並べ替える……ということを繰り返して、 最終的に
c1c1……cmcm a1b1a1-1 b1-1 …… anbnan-1 bn-1
となります。- これの中央の部分に注目して
X c c a b a-1 b-1 Y
と書いてみます。つまり、c1c1……cm-1cm-1 の部分を X 、 a2b2a2-1 b2-1 …… anbnan-1 bn-1 の部分を Y と書き、さらに cm = c, a1 = a, b1 = b と書くことにします。 この式で、まず cc の後ろの ab を(逆にして) cc の間にいれ、 変形を続けます:
X c c a b a-1 b-1 Y
→ X c b-1 a-1 c a-1 b-1 Y
= X c b-1 a-1 c a-1 b-1 Y
→ X c b-1 a-1 a-1 c-1 b-1 Y
= X c b-1 a-1 a-1 c-1 b-1 Y
→ X c c a a b-1 b-1 Y
つまり c c の形の基本部品が2つ増え、 a b a-1 b-1 の形の基本部品がひとつ減りました。 これを続ければ(3)が得られます。
幾何学演習II
■小テスト
図のような点 a, b, c, d があるとき、K={<a,b,c>, <c,d>}は 複体ではない。いくつか単体を追加して、複体にしなさい。
・a ・d b・ ・c■複体(つづき)
複体の例:
- σをn単体とするとき、K(σ)をσの辺単体の全体(σ自身も含む)と定めると、 K(σ)はn次元複体であり、|K(σ)|=σである。
- σをn単体とするとき、K(σ・)をσの真の辺単体の全体 (σ自身は含まない)と定めると、K(σ・)は(n-1)次元複体であり、 |K(σ・)|=σ・である。
定義:K, L が複体であり、L⊂K が成り立っているとき、L はKの部分複体であるという。 このとき明らかに |L| ⊂ |K| が成り立つ。
例:K(σ・) は K(σ) の部分複体である。
■単体分割
定義: 位相空間 X に対し、|K|〜X (位相同型)となる複体 K が存在するとき、 X は単体分割可能であるといい、K と位相同型写像|K|〜X のペアを X の単体分割という。
講義では色々な具体例を学びました。