[目次]
■像と逆像
写像 f : X → Y が与えられているとします。
- 部分集合 A ⊂ X に対し、f(A)={f(x) | x ∈ A }と定めます。
これをfによるAの像といいます。
f(A) は Yの部分集合です。
- 部分集合 B ⊂ Y に対し、f-1(B)={x∈X | f(x) ∈ B }と定めます。
これをfによるAの逆像といいます。
f-1(B) は Xの部分集合です。
※ 注意
- 1の f(A) と要素 x に対する f(x) は、同じ記号を使っていますが、
別のものであると認識してください。
- 2のf-1 は、逆関数(逆写像)を表す f-1と
同じ記号ですが、別のものであると認識してください。
- 上の定義式は必ず覚えてください。
- 像や逆像がどの集合の部分集合かということも大事ですので、常に
意識してください。
すぐわかること:
- x ∈ A ⇒ f(x) ∈ f(A)
- y ∈ f(A) ⇔ ∃x ∈ A s.t. y = f(x)
- x ∈ f-1(B) ⇔ f(x) ∈ B
■公式
f:X → Y は写像、A1, A2 は X の部分集合、
B1, B2 は Y の部分集合とします。すると、
次が成り立ちます:
- f(A1∪A2) = f(A1) ∪ f(A2)
- f(A1∩A2) ⊂ f(A1) ∩ f(A2)
- f-1(A1∪A2) = f-1(A1) ∪ f-1(A2)
- f-1(A1∩A2) = f-1(A1) ∩ f-1(A2)
演習
- 教科書の問4.2, 4.3 を解きました。
- プリント#3 の2(1)を解きました。
今回集めたレポートの解答例です:
問題:an → a であり、bn → a であるとする。
新しい数列 cn を
a1, b1, a2, b2,
a3, b3, …………
と定める。このとき cn → a であることを証明しなさい。
ε> 0 を任意にとる。
an → a であるから、
∃n1∈N s.t. n≧n1 ⇒ |an-a|<ε
そのような自然数 n1をとっておく。
bn → a であるから、
∃n2∈N s.t. n≧n2 ⇒ |bn-a|<ε
そのような自然数 n2をとっておく。
さて、n0=max{2n1-1, 2n2}と定める。……
(*)
このとき、
n≧n0 ⇒ |cn-a|<ε
がなりたつことをチェックしよう。
n≧n0 とする。n0 の決め方から、
不等式 n≧2 n1 - 1 と n≧2 n2 が成り立っている。
これらから不等式 (n+1)/2 ≧n1 と n/2 ≧ n2
が得られることに注意する。
場合1:nが奇数のとき
cn=a(n+1)/2
であり、(n+1)/2 ≧n1 であるから、
| cn - a | = | a(n+1)/2 - a | <ε
が成り立つ。
場合2:nが偶数のとき
cn=bn/2
であり、n/2≧n2 であるから、
| cn - a | = | bn/2 - a | <ε
が成り立つ。
以上より、すべての場合で|cn-a|<εが示された。
従って、cn→a が証明された。
□
証明のポイントは、(*)です。
これは欲しい不等式|cn-a|<εから出発して、この
不等式が成り立つための十分条件をみつけることによって見いだされたものです。
その計算は別の計算用紙で行い、答案には、
何喰わぬ顔で突然この式を書くわけです。色々な問題を解いて、そのコツを
つかみましょう。