[目次]

集合(続き)

集合
  1. 部分集合を列挙する問題
  2. ∪∩に関する分配法則
    • A∪(B∩C)=(A∪B)∩(A∪C)
    • A∩(B∪C)=(A∩B)∪(A∩C)
  3. ∪∩に関する結合法則 (p.8 問1.7)
    • A∪(B∪C)=(A∪B)∪C
    • A∩(B∩C)=(A∩B)∩C
  4. 補集合 Acに関するいくつかの公式 (Uは全体集合)
    • (A∪B)c=Ac∩Bc
    • (A∩B)c=Ac∪Bc
    • (Ac)c=A
    • Uc=φ
    • φc=U
プリントの[3](4)を解きました。


演習

証明問題のヒント:
A⊂Bを示すタイプの問題
x ∈ A ⇒ ……
     ⇒ ……
     ⇒ x ∈ B

A=Bを示すタイプの問題
  1. 直接次のような議論を行う
    x ∈ A ⇔ ……
         ⇔ ……
         ⇔ x ∈ B
  2. A⊂B かつ B⊂A であることを個別に証明する




前回のレポートについて
プリントNo.2[2](3)(5)の各命題の否定を作りなさい (式によるものと、ことばによるものの両方)。

※ 単に先頭に「¬」をつけたり、最後に「(〜)ではない。」をつけたりするのではなく、 わかりやすい形にすることが期待されました。

解答例:

(3) 元の命題「x2=-1 をみたす実数 x が存在する。」は、
   P(x) : x は実数である。
   Q(x) : x2=-1 が成り立つ。
とおくと「∃x (P(x) ∧ Q(x))」と表せます。従って、この否定は次のようになります:
    ¬( ∃x (P(x) ∧ Q(x)) )
  ≡ ∀x ( ¬( P(x) ∧ Q(x) ) )
  ≡ ∀x ( ¬P(x) ∨ ¬Q(x) )
  ≡ ∀x ( P(x) ⇒ ¬Q(x) )
これを、ことばで表現すると次のようになります:
   任意の実数 x に対して、x2≠-1 が成り立つ。……(*)

これを
   任意の x に対して x が実数であるならば x2≠-1 が成り立つ。
と書いている答案が多かったですが、これはよい表現ではありません。 「任意の x に対して」の部分が「x が実数である」の部分につながっていると 解釈してしまうと
   「任意の x に対して x が実数である」ならば……
と読んでしまい、一体なんのことかわからなくなり、その先まで読んでやっと
   任意の x に対して「 x が実数であるならば x2≠-1 が成り立つ」。
とわかります。ことばで表すときは、できるだけ誤解をさけるような表現をするべきです。 上の(*)のように書くか、
   x が実数であるならば、(必ず)x2≠-1 が成り立つ。
のように書くでしょう。「必ず」は省略してもかまいません。

もう一度「∀x ( A(x) ⇒ B(x) )」の形の命題の「読み方」をまとめておきます:


(3) の別解:
否定の式で、¬P(x)と¬Q(x) を入れ替えて、
    ∀x ( ¬Q(x) ∨ ¬P(x) )
  ≡ ∀x ( Q(x) ⇒ ¬P(x) )
とすることもできます。つまり( )の中の部分を対偶で置き換えるわけです。 これももちろん正しい解です。このようにした場合は、ことばで表現すると、
   もし x2=-1 であるならば、x は実数ではない。
となります。

※ ちなみに、(3)の否定は「真」です。

(5) 「任意の自然数nに対して、x > n が成り立つような実数 x が存在する」
これは「、」を使って誤解が生じにくいような工夫はしてありますが、 わかりにくい表現です。 「もし n が自然数であるならば、x > n をみたす実数 x が存在する」 と書いても同じ意味です。 これは真です。

次のように命題関数を定義します:
   P(n) : n は自然数である。
   Q(x) : x は次数である。
   R(x,n) : x > n である。
すると上の命題は「∀n ( P(n) ⇒ ∃x ( Q(x) ∧ R(x,n) ))」となります。 これを否定しましょう(偽の命題ができます):
    ¬(∀n ( P(n) ⇒ ∃x ( Q(x) ∧ R(x,n) )))
  ≡ ∃n(¬( P(n) ⇒ ∃x ( Q(x) ∧ R(x,n) )))
  ≡ ∃n( P(n) ∧ ¬(∃x ( Q(x) ∧ R(x,n) )))
  ≡ ∃n( P(n) ∧ ∀x ( ¬( Q(x) ∧ R(x,n) )) )
  ≡ ∃n( P(n) ∧ ∀x ( ¬ Q(x) ∨ ¬ R(x,n) ) )
  ≡ ∃n( P(n) ∧ ∀x ( Q(x) ⇒ ¬ R(x,n) ) )

ことばで表現すれば、
   次の条件をみたす実数 n が存在する: もし x が実数ならば必ず x ≦ n となる
もしくは、
   自然数 n で、任意の実数 x に対して x ≦ n となるようなものが存在する
と書けます。