[目次]
小テスト:(1) 写像 f:X→Y が単射であるとはどういうことか説明しなさい。
(2) 単射 f:RR の例を作りなさい。

集合の濃度

まず最初に要素の個数が有限個であるような集合 X, Y の間に全単射 f:X→Yが存在するならば、X の要素の個数と Y の個数が等しいことを観察しました。

一方、要素の個数が無限個の場合は Y が X の真部分集合であって、 明らかに Y の方が X より「小さい」ときでも、X から Y への全単射が存在する場合が あります。例えば X=N={1,2,3,4,...}, Y=2N={2,4,6,8,...}の場合、 f(x)=2x は X から Y への全単射を定めます。

次のような場合に X から Y への全単射を実際に構成しました。

  1. X=(0,1], Y=[2,6)
  2. X=(0,1), Y=(0,2)
  3. X=(0,1), Y=(0,∞)
  4. X=(-π/2, π/2), Y=(-∞,∞)
同じタイプの区間同士の間に全単射を作るのは簡単です。 実は異なるタイプの区間同士の間にも全単射を作ることができます。 例えば演習プリント No.3の9をみてください。

X から Y への全単射が存在するとき、X の濃度と Y の濃度は等しい といい、|X|=|Y| と書きます。X の濃度 |X| とは X の要素が有限個の場合は、 X の要素の個数と思ってもかまいませんが、X の要素の個数が無限たくさんあるときは、 説明がしにくいですので、これは後日説明します。今は、「濃度とは何か?」 という問いには目をつぶり、「2つの集合の濃度が等しいとはどういうことか」 ということをしっかり学んでください。

さて、f:X → Y が全単射であるならば、Y の要素 y に対し、f(x)=y となる x∈X がただ1つ存在します。y に対してこのxを対応させると Y から X への写像ができます。これを f-1:Y → X とかき、 f の逆写像といいます。「逆像」を表す記号と同じですが、 混同しないようにしてください。逆写像に関しては次のことがすぐにわかります。

  1. f-1は全単射である。
  2. f-1の逆写像は f である:(f-1)-1 = f
  3. f-1 o f = 1X : X → X
  4. f o f-1 = 1Y : Y → Y




演習

ad -bc ≠ 0 のとき、 一次分数関数 f(x)=(ax+b)/(cx+d) の定義域・ターゲットを適切に定めると 全単射が定義されることを観察しました。