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小テスト:|[1,2)∪[3,4]|=|[1,3]| であることを示せ。



集合の濃度(続き)

前回「|A|=|B| ⇔ ∃f:A → B; 全単射」ということを学びました。 さらに濃度の大小関係を以下のように定めます:
   |A|≦|B| ⇔ ∃f:A → B; 単射
   |A|<|B| ⇔ |A|≦|B| かつ |A|≠|B|

命題:A⊂B ⇒ |A|≦|B|

有限個の要素からできている集合を有限集合といいます。 そうでないとき、つまり無限に多くの要素をもつときは、 無限集合といいます。 A が無限集合であるとすると、 互いに相異なる要素の列
   a1, a2, a3, a4, ……
を作ることができます。この列は単射N → A を定めますから、 |N|≦|A| がわかります。

|A|=|N|が成り立つのは、A が互いに相異なる無限個の要素たち
   a1, a2, a3, a4, ……
の和になるときです。そのような集合を可算(無限)集合といいます。 具体例は、N, Z, Q などがあります。 例えばZは、
   Z={……, -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, ……}
と、要素を一列に並べることができますが、可算集合であるという理由を説明するときは、 「先頭のある」列に並べ替えることが必要になります:
   Z={ 0, 1, -1, 2, -2, 3, -3, ……}
講義では有理数を一列に並べる方法を解説しました。

無限集合がすべて可算であるわけではありません。可算でない無限集合は 非可算(無限)集合とよばれます。

定理:R は非可算集合である。つまり、|N|<|R|。

証明にはカントールの対角線論法を用いました。

自然数全体の集合 Nの濃度 |N| を 0と書きます。 また、実数全体の集合 Rの濃度 |R| を と書きます。 この書き方を用いると上の事実は 0 と表現することができます。

ここで出てきた不思議な文字はヘブライ文字のアレフです。 「アレフ」については、星野敏司さんの解説ページ http://www.nn.iij4u.or.jp/~hsat/techterm/aleph.html に筆順なども含んだ詳しい解説があるので、ぜひ読んでみてください。

まとめ:

  1. 集合は、有限集合と無限集合の2種類にわかれる。
  2. A が無限集合であるならば、必ず |A|≧0 である。
  3. 従って、無限集合はさらに
    • |A|=0のもの、つまり可算集合
    • |A|>0のもの、つまり非可算無限集合
    の2種類にわけられる。
有限集合と可算集合をあわせて、高々可算な集合と呼ぶこともあります。



次の事実を知っていると便利です:
(ベルンシュタインの定理) |A|≦|B| かつ |B|≦|A| ならば|A|=|B|

あたりまえだと思ってはいけません。証明は面倒です。 詳しく知りたい人だけ、教科書で勉強してください。 講義では証明を省略します。




演習

小テスト:|N∪{0}| =0 を示せ。

他にも色々問題を解きました。下の問の(3)(4)(5)が残りました。

問 |A|=|B| を示せ。(ベルンシュタインの定理を用いても良い)

  1. A=R−{0}, B=(0,1)∪(2,3)
  2. A=Z, B=2Z={……, -4, -2, 0, 2, 4, 6, ……}
  3. A=[0,1], B=R
  4. A=R−{0}, B=R
  5. A=R−{0}, B=(-1, 1)