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小テスト:Zに5を法とした合同の同値関係を考えるとき、次を示せ:
m∈C(2), n∈C(3) を任意にとるとき、必ず mn∈C(1) である。
■順序関係
一般に集合X上の関係≦が次の条件を満たすとき、順序関係といいます:
O1 (反射律) x ≦ x
O2 (反対称律) x ≦ y かつ y ≦ x ⇒ x = y
O3 (推移律) x ≦ y かつ y ≦ z ⇒ x ≦ z
対 (X, ≦) を順序集合、もしくは後で述べる全順序集合と 区別しやすいように半順序集合といいます。
半順序集合 (X, ≦) のふたつの要素 x, y が比較可能であるとは、 x ≦ y または y ≦ x の少なくとも一方が成り立つことをいいます。 任意のふたつの要素が比較可能であるときは全順序集合といいます。
例:
- 実数の全体に普通の順序≦を考えたものは全順序集合です。 また、その部分集合も皆、全順序集合です。
- 集合 U の部分集合全体の集合 2U (U のべき集合)に 包含関係⊂で順序関係を入れたものは、一般に全順序集合ではありません。
定義 (X, ≦) は半順序集合、A は X 部分集合とします。
- a が A の最大元 (a = max A )⇔ ((a ∈ A) ∧ ∀x(x∈A ⇒ x ≦ a))
- b が A の最小元 (b = min A )⇔ ((b ∈ A) ∧ ∀x(x∈A ⇒ b ≦ x))
- s が A の上界 ⇔ ( ∀x(x∈A ⇒ x ≦ s))
- s が A の上限 (s = sup A ) ⇔ s = min{A の上限たち全部}(存在すると仮定して)
- t が A の下界 ⇔ ( ∀x(x∈A ⇒ t ≦ x))
- t が A の下限 (t = inf A ) ⇔ t = max{A の下限たち全部}(存在すると仮定して)
- A が上に有界 ⇔ A の上界が存在
- A が下に有界 ⇔ A の下界が存在
- A が有界 ⇔ A が上にも下にも有界
■実数の性質
以下、実数全体の集合Rに通常の順序を考えます。
定理 R の空でない部分集合 A が上に有界ならば、 A には上限 sup A が存在する。 下に有界ならば、下限 inf A が存在する。
定理 自然数全体の集合Nは上に有界でない。
演習
色々な順序集合を調べました。