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部分集合の内部・外部・境界 (1)
前回と重複しますが一部繰り返します。
距離空間 (X,d) の部分集合 A があたえられたとき、(X,d) の点たちは 次の2種類に分かれます:A の触点の全体を Aa と、肩に a をつけて表し、A の「閉包」とよびます。
- A の中の点列の極限になる (このとき、その点は A の「触点」であるという)
- A の中の点列の極限ではない (このとき、その点は A の「外点」であるという)
A の外点の全体を Ae と、肩に e をつけて表し、A の「外部」とよびます。
定理:
- A ⊂ Aa
- Aa∪Ae=X
- Aa∩Ae=φ(空集合)
上の2と3は、Aa と Ae が互いに補集合であることを意味します。 部分集合の補集合を、肩にcを書いて表すことにすると、次のように表現することもできます。
- Aac=Ae
- Aec=Aa
ただし、肩に複数の記号が書かれているときは近いものから先に適用すると解釈します。 例えば Aac=(Aa)c という意味です。
定義:(X,d) を距離空間、x を X の点、r を正の数とする。このとき、
N(X;r) ={ y ∈ X | d(x,y)< r }
を (X,d) における「点 x の r近傍」という。x を N(x;r) の「中心」、r を N(x;r) の「半径」という。必ず x ∈ N(x; r) が成り立つことに注意しましょう。
小テスト:R2に離散距離を与える。 N((0,0);1) および N((0,0);2) をそれぞれ図示せよ。
このr近傍を用いて、点が集合Aの触点や外点であるための必要十分条件を 表すことができます。
定理
- x が A の触点 ⇔ ∀r>0 ( N(x;r)∩A ≠φ )
- x が A の外点 ⇔ ∃r>0 ( N(x;r)∩A =φ )
いくつかの例で閉包や外部を求めました。「内点」や「内部」にも言及しましたが、 時間がなくなったので、次回またやり直します。