『我左眼見到鬼/My Left Eye Sees Ghosts』 『星願/Fly Me To Polaris』 『猟奇的な彼女』 ネタバレ感想

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この映画は、あの佳作『星願 あなたにもういちど』 と状況設定がそっくり!!!

愛しあう男女がいる。
突然の事故により二人に別離が訪れる。
その男は別のひとの姿形で恋人のそばに戻ってくる。
男は自分の正体を告げることができない。
女は彼の正体に気づかない。
そしてついに二度目のそして永遠の別れがやってくる。

これを主に男の側から描いたのが『星願』。

http://www.water.sannet.ne.jp/vinorosso/ の 2001:泣いた映画ベスト10

そして女の側から描いたのが『我左眼見到鬼』。 こちらは上の構造がわかるのが映画の終わり近くなってしまいます。 ただ伏線はあちこちに張ってあるので、 多分皆サミーより先に幽霊の正体に気づくことでしょう。 それでも、やはりこの映画は少なくとももう一度見直す価値があります。 真相を知って観ると、感動も一段と大きくなります。

両者の関係は、ちょうど『心の旅路』の映画と原作の小説の関係に似ています。 映画『心の旅路』の前半は次のような話です:

欧州での大戦で記憶を失い精神病院に入院している身元不明の男(実は富豪の息子) が病院を脱走し、それを偶然助けた踊り子と結婚し、田舎で幸せな生活を送り、 子どもも産まれる。 ところがある日、仕事で都会に出たときに男は交通事故に会い、 ショックで元の記憶が蘇る一方、 入院生活や結婚生活の記憶を失ってしまう。 実家に戻った男は大会社の経営者として腕を振るうようになる。

時がたち、男には婚約者もできる。 その婚約者からの電話を受け男に取り次いでいるのは、あの踊り子であった! 彼女は、子どもを病気で亡くし、一人で生きていくうちに、自分の愛する男が 大企業の社長になっているのに気づき、色々な会社で働きながら能力をみがき、 ついに愛する男の有能な秘書になっていたのである。しかし、彼女は彼が自分から 彼女のことを思いだしてくれるのをじっと待っていた。

婚約者は、男が失われた過去の中に真に愛する人を残しているのを直感し、 別れを告げる。

男は政界にも進出することになり、妻を必要としていた。そこで、 自分の右腕でもある秘書に、仕事としての形式的な結婚を申し出る。 それは彼女にとって残酷なプロポーズであった。

男は政界においても成功を収めていくのですが、ヒルトンによる原作小説は まさにそこから話がスタートします。

大会社の経営者でもあり、著名な国会議員でもある男が主人公。 男は、若い頃、大戦中の戦闘で気を失ってから、ある街で事故に会い目覚めるまでの 数年間の記憶を失っている。 何度か、その失われた空白期間について調べたがなにも手がかりはなかった。 そして今、男は自分の過去の空白期間についてもう一度調べようとする。 それを手伝うのは、かつて彼の有能な秘書であった現在の妻。 長い小説の最後、 とうとう彼に記憶が蘇った時、空白期間に彼と結婚していたのは現在の妻であったことを 見出すのであった。

こっちが『左眼』で、映画が『星願』ですね。 で、どっちが好みかというのは難しい問題です。 どちらも大好き、としか言えないです。 『星願』タイプのほうがストレートな分、いっぱい泣けると思いますが、 『左眼』タイプも1本で色々楽しめます。

ミステリーは別として、他に、『左眼』のような「意外な正体」 の話ってどんなのがあったでしょうね。 ちょっと雰囲気がちがうけれど、小説では「ケインとアベル」なんていうのがありましたね。 あれも主人公を影から支える謎の人物の正体が明かされた時は、ほんとに驚きました。 『ラヴソング』のラストなんかも冒頭のある人物の正体が明かされて、びっくりしました。 『猟奇的な彼女』なんかにもその要素はあります。 『恋人たちの食卓』での結婚相手の発表にも驚きました。 どれも好きな映画ばかりです。

いま、『猟奇的な彼女』のことに言及しましたが、この映画には他にも 『我左眼見到鬼』と重なる点がいろいろあります。 リストにしてみると……




サミーの前作『嫁個有銭人/Marry A Rich Man』はいまいちだったですが、 『左眼』には、はまってしまいました。よくある話だといえばそうなんですけど、 この手の話には弱いのです。 しかも、まさかそんな話だと予想させない安っぽいポスター・タイトルがいいです。 もう少しでこのDVDの購入はパスするところでした。 パスしなくてよかった〜。