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2009年
- その日のまえに
(2009/1/4, シネマクレール丸の内1):
余命幾ばくもない妻とその夫が最後の外出で新婚の時に住んだ街を訪れる話。
そこで昔合った事件の関係者も絡んでくるファンタジー仕立ての作品です。
期待していなかったのですが、感情移入してしまい、めちゃめちゃ泣いてしまいました。
青く塗られた部屋に飛行機雲が描かれるのかと思っていましたが、
そう来ましたか……。
- 僕は君のために蝶になる
(2009/1/4, シネマクレール丸の内2):
李冰冰は『ただいま』『百年好合』『天下無賊』そしてこの映画と観てきましたが、
なんかイマイチです。『ただいま』が一番よかったかな。今回はいやな女の役で、
どうも盛りあがりません。なんでジョニー・トーがこんなに面白くない映画を作るかなあ。
同じように幽霊の話だとサミー・チェンの出た『我左眼見到鬼』のほうが遙かに感動的でした。あれはぼろぼろ泣いてしまいました。
- 大丈夫であるように ―Cocco 終らない旅―
(2009/1/10, KBCシネマ):
Coccoさんという歌手のことは全く知りませんでした。予感はあったのですが、
とっても痛々しい映画でした。冒頭の黒砂糖のはなしから「?」と思ったし、
腕が無茶苦茶細いのも「?!」だったのですが、そうでしたか……。
ほんとにやさしい人で、
そのやさしさゆえに色んな人の思いをどーんと受けとめてしまい、
自分をどんどん追い詰めていきます。
なにかしなければいけないという思いをナイーブな行動に結びつけ、
却って無力感にさいなまれてしまうのです。
思い出すだけでも溜息が出てきます。
最初はちょっと退屈なのだけれど、小さなライブで友達の死を語るあたりから
本人も泣くし、観ているこちらも泣かずにおれない感じになってしまいます。
この人、ほんとによくステージでなく人でした。
- 青い鳥
(2009/1/11, シネマクレール丸の内1):
本郷奏多くんも阿部寛も、そしてクラスのワルも、みな良かったです。
クラスのいじめによって引き起こされた自殺未遂……
形式的な解決を図る学校、生徒にきちんと向かいあう教師、
それに苛立つ生徒、罪の意識に苦しむ生徒、……
それらがしっかり描かれていました。
なんか、学校っていやなところですね〜。
- シロタ家の20世紀
(2009/1/12, 第七藝術劇場):
藤原智子監督がベアテ・シロタさんを描いたドキュメンタリー映画「ベアテの贈りもの」が
パリで上映されたときに思いがけず現れたベアテさんお従姉妹の娘であった……という話は
日経の文化欄に書かれた藤原監督の文章で読み、興味を持っていましたが、運良く
大阪で、ベアテさんの父レオ・シロタやその兄弟および子孫のたどった道を描いた「続編」を
観ることができました。映画祭で上映されたときは人物関係がわかりにくかったそうですが、
映画の中で何度も家系図が(一部を除き)写真付きで写され、混乱せずに観ることができました。
ロシアのユダヤ人はたとえ外国へ脱出できたとしても、ずいぶん辛い目に遭っているのですね。
チラシなどを観ないで映画を観ましたが、美しかった少年が成長していき、そして
反ナチスの戦いで死んでいったのを知るのはとても辛いことでした。
- 心理学者 原口鶴子の青春〜100年前のコロンビア大留学生が伝えたかったこと〜
(2009/1/12, 第七藝術劇場):
シネジャの出海さんが泉悦子として監督されたこの第2作は山路ふみ子映画賞福祉賞を受賞しました!
ほんとうにおめでとうございます。
監督自身が10年前(50歳のとき)ニューヨークに留学して映画の勉強をされたときの楽しさ、
それが偶然出会った、100年前にコロンビア大学に留学した鶴子さんの「楽しき思ひ出」という本と響き合ってできた映画です。
なので、映画の大部分ははつらつと生きた鶴子さんの姿を手紙やハガキ、
上記の本などを通じて描いていきます。それがちょうど、僕の好きな「あしながおじさん」の
ジュディの手紙のようで、とても幸せな気持ちで観ることができました。
だけど無念の若死にをしてしまったのが残念!
- 山椒大夫
(2009/1/17, 西川アイプラザ5階ホール):
去年文芸坐で観た「驟雨」とシネマクレールで観た「東南角部屋二階の女」の香川京子さんが
ほん……っとに綺麗だったので、香川京子さん目当てで観に行きました。
香川さんは安寿の役です。子ども時代は子役が演じるし、大きくなったら死んでしまうので、
それほどたくさん出るわけではないですが、美しさを堪能しました。
それはいいとして、この映画は原作を改編しすぎではないでしょうか……。
まあ、もともとが短編小説ですからふくらませないともたないのでしょうね。
……と思って、今、原作
を読み返したのですが、ううむ、時間の経ち方があやしい……。
厨子王が山椒大夫のところを逃げ出したのは13歳の時。
で、京都に出て清水寺に泊まった翌朝、関白と出会っていて、
その年の秋には丹後の国守になっています(そんな子どもでいいのか!)。
そしてすぐに人買いを禁止し、山椒大夫もそれに従い、結局彼の一族はいよいよ繁栄しています!
そのあと佐渡に母を探しに行くわけで、
別れてからそんなに何年もたっているわけではないんです!
別れたときの母の年は30ちょっと。いくら昔でも、
それから数年で目も見えなくなるほどの変化というのはちょっと不自然。
監督さんもこまったんでしょうね〜。山椒大夫の所に10年いたことに変えられています。
まあ、ともかく、あまり細かいところは気にしないことにしましょう。
- おくりびと
(2009/1/17, 岡山メルパ):
アンコール上映をしていたので、観に行ってきました。
想像していたよりずっと楽しい映画でした。もっと辛気くさいかと思っていました。
ただNKエージェントの人がいくら心を込めて仕事をしたとしても、
それでいろんなわだかまりなどがほぐれるというのは荒唐無稽のような気がします。
そんなにうまくいくのでしょうか……。
それから亡くなった方を俳優さんが演じておられるので仕方のないことなんですが、
やっぱりどうみても生きているようにしか見えないんです。
もちろん、ぼくは実際に人の死に目にあったことは(父の場合も含めて)一度もなくて、
何時間かたった姿しか見ていないのですが、亡骸をみても、
ああ、ここにはもう「その人」はいないんだな……としか思えませんでした。
亡骸を粗末に扱っていいというわけではないのですが、
そのような物体を動かしていた「生命」というものに、
神秘というか畏敬の念を感じざるを得ません。
亡骸になってから和解してもしょうがないのではないでしょうか。
- 恋におちて
(2009/1/17?, DVD):
ロマンチックで胸のときめく映画なんですけど、観ていて痛いし、後味もよくないです。
なにしろダブル不倫(って言うのかな?)の話なんですよ〜。
男の方の家族(可愛い子がふたりいます)はそれほど壊れていませんでした。
なので、奥さんが怒ったのも無理ないでしょう。なぐりたくもなるでしょう。
女性の方の夫婦(こちらには子どもなし)はあまりいい関係じゃありませんでしたから、
こちらの夫婦のほうが観ていて気が楽でした。
で、確かに後味はよくないんだけど、なぜか惹かれてしまう映画なんですよね〜(;;)。
- チベットチベット
(2009/1/18, シネマクレール丸の内2):
ひさしぶりに映画友だちのYさんといっしょになりました。何ヶ月ぶりでしょう!
予備知識なしに見たのですが、外国映画じゃなくて日本映画だったんですね!
そして、監督さんは在日韓国人(三世)の方。
日本の朝鮮支配と中国のチベット支配が重なってくるわけです。
インドに脱出したチベット人へのインタビューは迫力がありました。
でもですねえ、ちょっとひっかかることがあって、
たしかに中国政府のやり方というのはよくないんだけれど、
それがダライ・ラマを肯定的に扱うっていうのに単純にはつながらないはずですよね。
今回の映像で見る限り、別に何かたいしたことを言っているわけでもないし、
心を打つことばもありませんでした。
信者が崇拝するのは勝手ですけどね。
- 俺たちに明日はないッス
(2009/1/18, シネマクレール丸の内1):
昔からよくある思春期の少年もの。
ヤリたがっているやつほど結局できない……っていうおきまりのパターンだけど、
妥当なストーリーでしょう。男の子はほんとにいそうな感じですね、誇張はあっても。
でも女の子はちょっとありえない設定じゃないでしょうか。
デ○専で、教室の机にあんな雑誌をいっぱい入れておく女子高生ってさすがにいないでしょう。
マンガが原作だからそんなこと言っても仕方ないですけど……。
終わり方はなんか切なくていいですね。
- 夢のまにまに
(2009/1/24, シネマクレール丸の内2):
老夫婦の話だと思ったので観てみようかな……と思ったのですが、
妙にイメージ的な映像が多く、葛藤といえば夫の買って来た版画のことくらいで、
なんだかとらえどころの無い映画でした。その版画の作者も、
もし戦後の時代に赤ちゃんだったとするともっと老けてるはずだし、
なんだか意味不明でした。
- ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
(2009/2/2, BSフジ):
リメイク作品の宣伝のための放映だったようです。
『テルマとルイーズ』みたいな話だけど、病気のせいもあって、あれほど痛快ではなく、
ちょっとしみじみした感じ……これも悪くないです。なんかあとを引きます。
タイトルにもなっているテーマ音楽がいいですね! どっかで聴いたな……と考えて、
「僕の彼女を紹介します」だったな……と思い出しました。
- 生きる
(2009/2/4, BS2):これが2回目です。ぶらんこで「ゴンドラの唄」(これは名曲!)
を歌うシーンだけ覚えていました。
全然記憶になかった小田切みきさんがとっても魅力的! ひぇっ、四方晴美のお母さんなんだ!
確かに似てる!! 数年前に亡くなってしまったんですね……。
前に観たときはまだ20代後半だったんですが、今は50代半ばになってしまいました。
多分癌にはなってないと思うんですが、いい年になってしまいました。
残りの人生で、なにか成し遂げたいですね……。できるかな……。
- その土曜日、7時58分
(2009/2/7, シネマクレール丸の内1):
なんとも後味の悪い映画です。なにより兄弟の兄の方の気色悪いこと!
特に、最初の醜悪なシーンなんか見たくありませんでした。
とってつけたみたいに、父親が弟の方を可愛がっていた……とか言う話が出てくるんですが、
全然兄の気持ちには寄り添えません。
嫁さんは逃げ出して正解でしたね〜。
嫌な奴が他の人を巻き込んで滅んでいくという話が面白いという人もいるんでしょうか。
- ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
(2009/2/7, シネマクレール丸の内1):
ローリング・ストーンズのコンサートのドキュメンタリー映画です。
監督とローリング・ストーンズ側とが全然かみ合わない冒頭の部分が面白い!
ちゃんと撮れるのか心配になります。監督さん、可哀想。
でも、大丈夫でした☆
ファンならすごく満足できたでしょうね。ぼくはあんまり聴いたことがなかったので、
さほどの大感動というわけではないのですが、けっこう色んなタイプの曲があったし、
ゲストも様々で飽きない構成で、やっぱりすごいグループなんだなと思いました。
というか、ちょっと疲れたかな(笑)。
- 未来を写した子どもたち
(2009/2/8, シネマクレール丸の内1):
コルカタ(カルカッタ)の売春街に住んでそこの人びとの写真を撮っている女性写真家が、
子どもたちに写真を教えることにより彼らの未来を変えていこうとする奮闘を描いた
ドキュメンタリーです。予告篇で内容はわかっていたのですが、実際に見ると、
悲惨な環境の中でせいいっぱい活き活きと生きている子供たちの姿に、
最初から最後まで涙が流れっぱなしになってしまいました。
大きく人生を変えることのできそうな子どももいますが、
写真家の女性があんなにがんばって外の世界に救い出そうとしても、
結局、その街に戻って生きていくことしかできない子どもたちが多いという現実に
溜息をついてしまいます。まあ、先のことを心配してもしかたありません。
今の彼らに喜びを与えることができただけで、彼女の努力は報われていると思うべきなのでしょう。
今年になってみた映画で、一番、インパクトがありました。
もう5年近く前の映画だから、子どもたちも大きくなっているんでしょうね……。
どうしているのかなあ……。
[2/15に二回目を観ました。書き忘れてましたが、音楽がいいですね!
バスの中で子どもたちが踊ったりして……。ところで、この映画は手持ちカメラで撮られていて、
ちょっと画面がゆれるんですよ。一緒に観た方がお一人、乗り物酔いみたいになってしまって、
気の毒でした。
そう言えば、バスのシーンでは誰か男の子が、バスの窓からゲーゲーやってましたね。
あのシーンなんか最悪だったかも……。]
- ラースと、その彼女
(2009/2/8, シネマクレール丸の内2):
予告篇でひいてしまったのですが、かみさんが東京でみて「よかった」というので、
観に行きました。まあ、予想していたような気色悪い映画ではありませんでした。
ただ、妄想ってあんな風にほんとになるものなのか……
なんかリアルに感じられず、ファンタジーのように思えました。
兄嫁の妊娠と妄想が関係あるのか……っていうのも気になりました。
恋人のいない男の場合、身近にに素敵な女性がいたら好きになりますよね〜。
彼の場合、どうだったんでしょう。
好きな女性の妊娠ってショックですよね。
抱きしめられると痛みを感じるぐらいだから、それは僕の妄想かなぁ(笑)。
まあ、それはともかく、この兄嫁、よかったですね。
で、彼女が「町の人みんながラースのことを愛しているから、
ビアンカを受けいれているんだ」って言うシーンありますよね。
でもねぇ、みんなに好かれてもだめなんですよね。
恋人として愛してくれる人が一人だけいないと……。
職場の女性と仲良くなるへんが説得力なかったかも。
ところで題名の「彼女」って、現代では「the real girl」だけど、
職場の女の子のことなのかな? 映画を観る前は、人形のことだと思ってたんですけど。
- マンマ・ミーア!
(2009/2/8, ジョリー東宝):
全く下調べしていかなかったんですが……そうか……
ABBAの曲でできてるミュージカルだったんですね。
実は、ABBAがすっごく苦手なんです(笑)。
そもそもディスコ音楽は苦手だし、ABBAの腑抜けた音楽は好きじゃないんです。
若い女の3人組も、年配女の3人組も、やたらはじけてて、ひいてしまいます。
にぎやかで、それなりには楽しみましたが、見終わって、見事になにも残りませんでした。
メリル・ストリープはけっこう好きなんだけど、あまり見せ場はなかったですね。
残念!
- 真木栗ノ穴
(2009/2/14, シネマクレール丸の内2):
ロビーに貼ってあるアンケートの点数はあまり高くないですが、
自分的には今年観た劇映画の中で一番ツボにはまりました。
他のお客さんもけっこう吹き出したりして、楽しんでおられたようだったんですけどね〜。
一目惚れした男の妄想が全開な映画は大好きなんです。
乱歩の屋根裏なんかと比較される方もあるかもしれませんが、もっと笑えて、
しかもそのこっけいな主人公に共感してしまう映画です。花火を観るシーンも好きでした。
でもラスト近くで初めて二人が出会ったシーンを別角度から見せるシーンでは、
妄想が一気に萎えました(笑)。現実ってそういうものなんですね……。
自分でもあまり妄想をふくらませないよう、今後気をつけます。
[ネタバレがあるので以下、白い字で書きます。マウスで色を反転させてご覧ください]
これ、どこから妄想で、どこから超自然的現実なのかわからないので、
ちょっともやもやするんですが、
本当に隣の部屋の女性が幽霊として現実に(というのもヘンですが)
主人公の隣に引っ越してきたと仮定しての話ですけど……主人公が一度は自分の原稿を
裂こうとした(つまり女性と結ばれるのをやめて生き延びようとした)のに、
結局、彼女と一緒の時を過ごすことを選んだのが、なんかすごく嬉しかったです。
「牡丹灯籠」とか「蛇性の淫」とかギリシャや日本の神話だとか、
死んだ女性を忌み嫌う話が多いのですが、ほんとに好きな女性だったら自分の命が
なくなってしまっても、その人と一緒にいたいと思わないのでしょうか……。
しかも、梅酒と燈籠を持って部屋に遊びに行くのがロマンチックでしたね〜。
特殊メイクがちょっと笑えてしまったですけど。プラトニックに終わったのもよかった。
この主人公にはそれが似合ってますよ! なんか、この主人公、すごく好きです(笑)。
それにしても最後のあたりはどう解釈するのが妥当なのか、入れ子になっているのか、
最初のシーンとの関係はどうなっているのか、もう一度みて考えてみたいと思います。
3人の女優さん(粟田麗さん、キムラ緑子さん、木下あゆ美さん)がとても素敵です。
粟田さんって何度か観てるはずなのですが、今まで認識していませんでした。
情けない……。多部未華子ちゃんもこんな風に成長してゆくのかな。
なにしろ「覗き」が主題なので女性から観ると×なのかなあとも思いますが、今度は連れあいと一緒に観に行って感想を聞こうと思っています。
あ、そうそう、岩のトンネルみたいになってる場所……なんかすごいですね。
行ってみたいです。あと、トマトのシーンもインパクトありました(笑)。
それから「ヨガ」と聞いただけで、様子が頭の中に浮かび、吹き出してしまいそうです。
- 大阪ハムレット
(2009/2/15, シネマクレール丸の内2):
なかなか面白い映画でした。ただ、突然やってきた男が家に居着いてしまうという設定が
どうしても納得いかないんですけど……。大人の考えていることがイマイチわかりません。
一方、子供たちはストレートでわかりやすいし、感情移入しやすかったです。
いい子たちですね〜。連れ合いが次男がいいんだって言ってましたが、
確かにそうかも。可愛い子ですね。あの教育実習に来る女の子は理解不能です(笑)。
- 永遠のこどもたち
(2009/2/21, シネマクレール丸の内):
無茶苦茶こわい映画でした。もう一度見直さないと、実際にどういう順でどういうことが
起きたのかよく理解できませんが、ともかく、彼女がうかつなことをしてしまったわけですね……。
それは悲しすぎる! でも、良くできた映画でした。
- 少年メリケンサック
(2009/3/1, TOHOネマズ岡南):
宮崎あおいが面白い! すごく笑えました。男たちはみなダメ男たち。
若い頃と現在の姿が違いすぎ(^^;
パンクに対する愛情があんまり感じられなかったのはちょっと残念。
- チェンジリング
(2009/3/1, TOHOネマズ岡南):
行方不明になった我が子を探し求める母親(アンジェリーナ・ジョリー)を描いています。
「敵」はふたりあって、捜査のミスを認めようとせず、
彼女を精神科の病棟に閉じ込めてしまう警察幹部。
もうひとりは、子供たちを誘拐しては惨殺する異常者。
本当に絶望的な状況なのですが、彼女の一途な気持ちを知り、
助けようとする人が何人も出てきて、救われます。
特に病院で出会う女性の行為には泣けました。
また、しっかり自分の仕事をしようとする、心の優しい刑事と、
心ならずも殺人の手伝いをせざるをえなかった少年のエピソードなどもあって、
救われる思いでした。
あくまでも「希望」を捨てず一生を子どもの探索に捧げたこの女性に感銘を受けました。
- 彼女の名はサビーヌ
(2009/3/8, シネマクレール丸の内2):
すごくショッキングな映画です。
自閉症から小児精神病へと進んで暴力をふるうようになり、5年間の入院生活で
廃人のようになった妹(サビーネ)の現在までの姿を姉が過去と比較しながら描く
ドキュメンタリーです。
撮影する姉に向かって、明日はくるのか、明後日は来るのか、昼寝をしているうちに帰ってしまわないか、などを繰り返し繰り返しきくその姿がとても痛ましい。元気な頃の姿と、
入院後の姿の違いがあまりに激しく、最初は同一人物とは思えないのですが、
見ているとだんだんふたつの姿がつながってきます。
クライマックスは、自分の元気な頃のアメリカ旅行のビデオを見て彼女が泣くところ……。
嬉し泣きなのです! 一瞬ですが、そのときの彼女の表情は、活き活きとして、
まるで若い頃のようでした。
同じ施設にいる30歳の青年の母親のインタビューが、またすごい!
母親がビタミン剤と間違って息子の薬を飲んでしまったときの体験談をきくと、
患者達が飲んでいるくすりの強さがすごくわかります。
サビーネも以前の半分とはいえ、大量の薬を飲んでいます。
これらは本当に必要なものなのだろうか……
彼女がもとのように回復することがあるのだろうか……
溜息をついてしまいます。
- ダウト〜あるカトリック学校で〜
(2009/3/8, シネマクレール丸の内1):
なにかを心から信じられないこと・なにかの疑惑を持つこと……
これは辛く苦しいことです。イノセントに信じてしまえばある意味楽になり、救われます。
しかしそれが真実から単に目を背けているだけのことだとしたら……。
場合によってはそれは罪なことなのかもしれない……。
この映画の神父は罪を犯しているのかいないのか……一緒に見た妻は、
きっぱりと神父が少年に誘われて何かをしてしまったと断定しました。
ぼくはそれほどの確信は持てなかったのですが……。
(どうも「……」ばかりの感想になってしまいますね〜)
個人的に自分が一番近いのは若い修道女かな。
妻はメリル・ストリープかな。はっきり言って神父たちは、みな、下品でしたね。
修道女たちの食事と神父たちの食事の、あの違い!!!
食べ物も、食べ方も、会話も、すべて下品そのもの。
校長と議論しあうときの神父の大声にも興ざめ。
神父ってあんなものなのかなあ。
- 悪夢探偵2
(2009/3/9, シネマクレール丸の内1):
前半、無茶苦茶怖かったです。女の子の見る夢はもちろん怖いんだけど、
死んだ子たちの家族のほうがもっと怖い!
あ、市川実和子さんも(笑)。市川実日子さんは大好きなんですけどね!
で、メインが「菊川」になってから、雰囲気ががらっと変わります。
孤独な魂同士が地獄の中で巡り会うような、そんな話でした。
塚本監督、好きです。
- そして、私たちは愛に帰る
(2009/3/14, シネマクレール丸の内2):
3組の親子の話です。親子の話は苦手なんですけど、観てしまいました(笑)。
6人の中では、女性を殴り殺してしまう男が最低。
こんな人、観たくなかったです。まあ、映画だから仕方ないんですけど。
殺されてしまう女性も含めて、残りの5人はみな魅力的でした。
それぞれ愚かなところはあるのだけれど、皆、真摯に生きています。
時間が前後して描かれるのも面白い。すれ違いと出会いの映画なんですね、これ。
偶然が多すぎるかな。まあ、映画だから仕方ないんですけど(笑)。
ただ、父親を見限ったはずの息子の最後の心変わりがちょっと納得いきません。
- カフーを待ちわびて
(2009/3/15, シネマクレール丸の内2):
う〜む、ありえない設定と好みでない主演女優で、
あまり入り込めませんでした。
見ず知らずの青年に結婚してくれと言って訪ねてくる女性がいるわけないじゃないですか!
あ、でも、出戻りの女性はよかった! こっちが好みです。
- エグザイル/絆
(2009/3/16, シネマクレール丸の内1):
ちょっとかっこつけすぎ! と言いたくなるほど美しい「男の映画」です。
緊迫感にみちたシーンに、独特のユーモアが時々交ぜられて、面白く観ることができました。
ただ、むなしい話ではあります。
- 泣きたいときのクスリ
(2009/3/21, シネマクレール丸の内2):
ラジオドラマが元になっているせいか、演技が妙に舞台っぽくて不自然。
わざとらしさは映画ではマイナスだと思います。
特に若い駅員がよくないです。女子高生ぐらいならまだOK!
どのエピソードもいまいち感動できません。
泣ける場所がありませんでした。
- 青空のゆくえ
(2009/3/29, DVD):
やっぱり多部未華子ちゃんがいちばん好きだけど、
他の子もよかった(特にあっちのタカハシを好きになる子! 「キモチワルイ」と言われるところが
とっても切なかったです)。もう少し登場人物を絞った方がもっと盛りあがったかな?
主人公の男の子がもてすぎなのが気に入らないので(笑)、オススメマークはなしにしました。
- ティム・バートンのコープスブライド
(2009/4/2, DVD):
劇場で観てとても好きな映画だったので、ついDVDを買ってしまいました。
主人公のビクターがあっちにもふらり、こっちにもふらりとなるところが
気にならないでもないけれど、その気持ちってわかる気がします(笑)。
死体の花嫁がベンチに座って(ここに座れという意味で)隣をとんとんと叩くジェスチャーが
すっごく好きです。何度でも観たい(笑)。
ラストの美しさは格別ですね、悲しいけれど。それから、ピアノを弾くシーンでは、
「言えない秘密」を思い出しました。あれは「コープスブライド」を意識したのかなあ。
- エレジー
(2009/4/4, シネマクレール丸の内1):
微妙に正直なような正直でないような大学教授の純愛物語、
相手はペネロペ・クルス演じる女子学生
……ぐわっ、なんか恥ずかしくなりますけど、けっこうよかった〜。
すごく本気なところがいいんですよね。でも、結婚ということ自体を否定していて、
決してその女子学生と公な関係になろうとはしないのがちょっとダメダメなところかも。
しかも、昔からの恋人とのつきあいもやめるわけではなくて、二股なんです。痛いなぁ。
それに重ねて、彼と色々な確執のある息子も、
妻と子を愛しながら好きな女性ができちゃうという痛さ。
「コープスブライド」に引き続いてその手の映画を観てしまいました。
なんとなくこの映画がロマンチックに終われたのは、悲しい思いをした人が全然でてこないで、
主人公2人だけの話に収束しちゃったからかな……。
ちょっとずるいかも。
自分も年を取ってきたな〜と思う今日この頃なので、とっても興味深い映画でした。
観ているときは気づかなかったんですけど、主人公の親友の妻を演じたのがなんとブロンディの
デボラ・ハリー! 院生の頃、カセットを買ってよく聴いたものでした。懐かしい……。
- アリア
(2009/4/4, シネマクレール丸の内2):
年末にチェックしていて、つけ忘れていたのに気付きました。
チケットはあるんですが、ほとんど記憶に残っていません。すみません。
- 精神
(2009/4/9, シネマクレール丸の内1):
カウンセラーのI先生に声を掛けていただき、試写会で観ることができました☆
(会場でもうまくお隣に座れました! ラッキー!)
未見の方が多いと思うのであまり書けませんが、絶対、観るべき作品です。
「こらーる岡山」という精神科のクリニックの患者たちの姿を描いたドキュメンタリーです。
予告篇が公式サイトで観られます。
辛い思い、苦しい思いをしている患者さんたちが素顔で自分のこと・自分の気持ちを語ります。
ぼく自身は、偏見の少ない方の人間じゃないかと思うんだけど、そして実際、
ウツの傾向の方にはすっと心が寄り添っていけるんだけれども、
躁の人、そして過激な人、……そういう人の場合は引いてしまうところがあるかもしれません。
圧力を受けとめきれないというのか危険を感じるというのか……。
特にそれを思い知らされたのが最後に取り上げられた方。
だって、ヘンだと思うじゃないですか。家の中で靴を履いて歩き回ってるんだもの。
おまけに外に出るとき、その靴を脱ごうとするんだもの!!!!
でもその次の瞬間、自分の偏見を思い知らされた気がしました。
ぼくの思い込みだったんです。
それは「上履き」だったんです!!!!!
結局よく理解できなかったのだけれど、なにか事情・理由があることだけはわかりました。
スクーターかバイクのようなものに載って去っていく彼の姿、それはやっぱり
僕から観て危なっかしいしヘンなんだけど、でも、
自由に空に羽ばたいていく鳥のようにも見えました。
そのシーンで映画は終わりなんですが、その直後に、
頭の中が一瞬で真っ白になるような爆弾がしかけられていました。
ショックでした……。岡山では7月に上映の予定だという話でしたので、
またその時絶対観に行きますが、とても平静な気持ちでは観ることができないでしょう……。
- ノン子36歳(家事手伝い)
(2009/4/11, シネマクレール丸の内1):
何が頭に残ったかって……もちろんあの2回に渡るセックス・シーンでした。
特に最初のはすごい! これほんとにR15なの? あまりに生々しくて胸が痛くなるほどでした。
ちょっと心の平安が壊されたような気がします。まあ、僕だけの特殊事情かも知れません(苦笑)。
お好きな方はぜひおでかけください。
それはさておき、主要登場人物がひどい人たちばかりでまいりました。
主人公も、綺麗で素敵な人なのに、夜中に自転車で町中のゴミ箱をひっくり返していくし、
元夫は完璧なヒモ男でほら話ばかり。
町にやってくる若者マサルも、人生を完全に甘く見ているどうしようもない男。
夢みたいなことは言っても実行力ゼロ。
それだけならまだいいけど、いくら相手がほとんど暴力団員みたいな連中だとしても、
あんなに人の居るところでチェーンソー振り回すマサルはどう考えても普通じゃない。
可哀想だけど、関わり合いになりたくない子です。
もちろん、自分の中にこれらの人と重なる部分があるのはわかるんですけどね〜。
舞台となった寄居や秩父方面は以前住んでいた東松山の近くなので、
映画が始まったときは、おおおおっと思って期待したんですけど、残念でした。
- ロルナの祈り
(2009/4/12, シネマクレール丸の内1):
ベルギーの国籍を取るために麻薬中毒のクローディと偽装結婚しているロルナ。
なにがいいって、この二人はお互いのことを性的に全く意識していないんですよ。
クローディはロルナのことを姉のように頼り切っているという感じかな。
それで必死で麻薬を断とうとがんばるところがとっても健気。
(まあ、ロルナ中毒といった方がいいのかな……そういう体質なんですね)
ロルナに頼まれても彼女を殴ることができない、そんなクローディ……。
ロルナには恋人がいてクローディのことをそういう対象としては見ていなかったし、
たしかにいつも仏頂面をしているんだけど、でも、自分でも知らないうちに、
彼が立ち直ることを応援せずにはいられなくなっていたのでしょう。
やけになってまた麻薬を買おうとするクローディを自らの体で癒してやります。
こういうのならもっと長く観ていて平気です(笑)。
次の朝、買ったばかりの自転車に乗ったクローディとそれを見るロルナの幸せそうなこと!
このあとの進展には正直、驚きました。予告篇に完全にミスリードされていました。
ネタバレにならずにこの先を書くのは無理なのでここまでにします。
ラストシーン以降のロルナのことがとても気になる……そういう映画でした。
- Paris パリ
(2009/4/19, シネマクレール丸の内):
色んな話がでてきたんで、どんな人たちがいたのか、あまりよく憶えていないんですけれど、
八百屋の男性ジャンとジュリエット・ビノシュの話が一番メインなのかな。
ほのぼのとしていました。歴史学者の話はちょっと観ているのが辛いですね。
ジャンの元妻も魅力的な女性でした。二人の間に何があったのかわかりませんが、
男女の仲って微妙なのですね〜。パン屋に勤める女の子もチャーミング。
パン屋の女主人のエグさも絶妙(笑)。観るに耐えないシーンもあるんですけれどね……。
ラスト、病院に向かうピエールが愛しむようにパリの街と人びとを観るシーンは切ないです。
- スラムドッグ$ミリオネア
(2009/4/19, シネマクレール丸の内):
大音量の音楽とクラクラするような映像で、ふらふらになりました。
主人公ジャマールの一途な思いが起こした奇蹟ですね。
結局クイズゲーム自体はそれほど彼にとって意味のあるものではなかったから、
当たる当たらないのスリルはなかったです。というか、最後の問題では、
カメラに向かって三番目の銃士の名前を「ラティカ」って言うんじゃないかと期待してしまいました。
- グラン・トリノ
(2009/4/26, 梅田ブルク7):
クリント・イーストウッド演ずる主人公は朝鮮戦争で人を殺したことをずっと引きずって生きてきました。
その彼が、隣人を不良たちからどうやって守るのか……というのがクライマックスです。
流れからいけば、彼が暴力に対し暴力で応えるというのはあり得ないことですから、
なるほど……そう来たか……という感じでした。ちょっと揺さぶられました。
隣のアジア系移民家族と次第に交流する過程はなかなかよくできていました。
ユーモアもあるし。
ただ、息子の家族の描き方や、不良たちの描き方は、平凡だったかなと思います。
- ミルク
(2009/4/26, 梅田ブルク7):
ドキュメンタリーの『ハーヴェイ・ミルク』を観てからこれを書いているんですけれど、
ショーン・ペンがハーヴィー・ミルクの雰囲気を見事に表現しています!
- おっぱいバレー
(2009/5/3, 東宝ジョリー):
綾瀬はるかさんの主演ですので、すごく期待して観に行きました。
彼女はもちろん可愛かったですが、中学生時代の彼女を演じた子も感じのよい子でした。
万引きをしてしまった彼女に毎日本を読んで感想文を書くように指導し、
彼女が自分でも知らなかった自分の能力やそれを発揮する喜び、将来への希望を与えた教師が
素晴らしいですね〜。普段からよく生徒を観ていたのでしょう。
学校をクビになり、くじけそうになる彼女が、教師が隠していたある秘密を知って、
もう一度子どもたちの所に走っていくところが一番感動的だったかな。
すがすがしい映画でした。ボーイフレンドとの話は余計だったかも……。
- ハーヴェイ・ミルク
(2009/5/28, シネマクレール丸の内1):
『ミルク』とは違って、恋人とのプライベートなことはほとんど出てこなくて、
その分、すっきりとしていました。
亡くなったあとの追悼の場面が感動的です。
- マリア・カラスの真実
(2009/5/30, シネマクレール丸の内1):
すごく年の離れた夫との離婚、オナシスとの関係の終了、歌唱力の低下……
晩年のマリア・カラスをみていると心が痛みますね〜。
- シリアの花嫁
(2009/5/30, シネマクレール丸の内2):
題名からシリアの映画かと思って観に行ったら、イスラエルの映画でした。
シリア領だったゴラン高原がイスラエルに併合されてしまい、あえて無国籍者であることを
選んだ人たちの話なので、ちょっとびっくり。主人公のモナはシリアに住む人気俳優と
写真によるお見合いで結婚することになり、国境で結婚式があげられる予定だが……
という感じの話です。結婚してしまうと彼女はシリア人となり、故郷にはもう戻れません。
親の期待を裏切りロシア人女性と結婚して勘当された兄、夫婦関係がよくない両親、
ボーイフレンドとの交際を父にとがめられる彼女の妹、……さまざまな問題は、みな、
慣習やしきたりにこだわる父親の姿勢が引き起こしたものです。
その彼がどう変わっていくのかというのと、モナのシリアへの入国がある事態から不可能になり、
それがどう打開されるのかというのが見所です。
- いとしい人
(2009/5/30, シネマクレール丸の内2):
ヘレン・ハントもベット・ミドラーも好きなので、絶対観に行かなくては!
と思っていましたが、やや期待はずれ。なんというか、節度が感じられないし、
相手のすべてを愛する優しさがなかったです。
- Last Chance Harvey
(2009/5/31, ルフトハンザ機中):
ダスティン・ホフマン演ずるハーヴィーは妻と離婚してNYで一人暮らし。
CMミュージックの作曲が仕事ですが、時代遅れで仕事を外されそうになります。
そんなときに、母親の元で育った娘の結婚式に出席するためロンドンに行きますが、
こちらでも完全に除け者扱い。失意のどん底の彼が独身女性と出会って……という話なのですが、
どうもあまりロマンチックでないんです。まあ、ダスティン・ホフマンですから……。
つまらない映画でした。
- Billu Barber
(2009/5/31, ルフトハンザ機中):
歌と踊りもたっぷり楽しめる人情インド映画です。
主人公は『スラムドッグ$ミリオネア』に出てきた警察の取調官。
貧しいけれど実直なビルーを演じています。
すごい田舎に家族4人で暮らしていて、近くの小さな町で床屋をして暮らしています。
その町にスーパースターのザヒールが映画ロケにやってくることになります。
ビルーがついうっかり「ザヒールは昔友達だった。きっともう忘れていると思うけど……」と
家族に漏らしたことから、その噂が村や町中に広まって、紹介してくれといってくる人、
勝手に床屋の道具を新しいものに入れ替えてしまう人、などなどで
ビルーの生活は大混乱に陥ります。でも、頑なにザヒールと連絡することを断るビルー。
彼のことばは本当だったのか、だとしたらどこでどういう関係だったのか、……となかなか
面白い映画です。人を利用しようとする奴らのせいで、ひどい目にあってしまうビルーなのですが、
最後はハッピーエンド。ほっとしますよ。クライマックスがすごく泣かせます。
飛行機の中なのに涙がこみ上げてきて、困ってしまいました。
日本でも公開されるといいのにな。
- トワイライト〜初恋〜
(2009/5/31, ルフトハンザ機中):
少女とバンパイヤの少年の恋の物語。ロマンス度はそれほど高くないです。
ワシントン州の森がとても綺麗です。
- 愛を読むひと
(2009/5/31, ルフトハンザ機中):
少年と年上の女性の恋で始まりますが、メインは数年後の裁判やそれ以降の話です。
語り手(元の少年)は彼女のためにあることをずっと続けます。でも、
あまりにも控えめすぎるような気がしました。もっと、もっと、
深くかかわれなかったのでしょうか。
また、彼女も一体どういう思いだったのか……。
字幕なしで、ちょっとぴんとこないところだらけでしたから、
今度は映画館で落ち着いて観てみようかと思います。
だけどですね、登場人物が英語でしゃべるっていうのはどうなんでしょう。
飛行機の中ではドイツ語も選べましたけど、画面の黒板のことばは英語でしたね(笑)。
どう考えてもヘンです。
[6/28追加]
「映画を語る会 in 岡山」
で女性陣の感想を聞いて目から鱗が落ちました。
そもそも彼女がなんで自殺しなければならなかったのか……全然わからなかったのですが、
女性陣はみんな明白だとおっしゃるんです。それは男が彼女の愛に応えてくれなかったからなんだと。
手紙をくれと書いても梨の礫。ただテープが届くだけ。面会してみれば、彼女を避けようとするだけ。
送られたテープは「愛を読んだ」ものではなく、「義務を読んだ」ものだったんですね〜。
いやあ、ぼくも、彼女が出所後はてっきり一緒に住むのかと思っていたら、
「彼女の住むところは見つかった」とか言っているので、ヘンだなとは思っていたのですが、
彼にはとっくの昔に恋心がなくなっていたんですね。
ぼくは、なんと抑制の効いた人なんだろうと思っていたのですが、それはとんでもない勘違いでした。
『愛を読むひと』という題にすっかりだまされてしまいました。
そう思って見ると、この語り手はひどい男ですね。彼の好意は偽善でしかないじゃないですか。
何もしない方がよかったぐらいです。
この男も、そしてぼくも鈍感すぎでした……。
- フィッシュストーリー
(2009/6/7, シネマクレール丸の内1):
多部未華子ちゃんの映画ですから見逃すわけにはいきません。
色んな時代の話が語られて、どうつながるのか……というのが見所……なんですが、
な〜るほどとは思いましたが、すごく切れ味がいいというわけではありませんでした。
多部未華子ちゃんの演技はちょっと恥ずかしかったかな。もっと自然な方が向いていると思います。
でも、十分可愛かったので満足です。いろんなエピソードのうちでは、バンドの話が一番リアルで、
見ていて面白かったです。次が、おとなしい青年の話かな。
他の話は、ちょっと荒唐無稽だったかもしれません(出てくる人がアヤシすぎる)。
- 沈黙を破る
(2009/6/21, シネマクレール丸の内2):
「沈黙を破る」とは、パレスチナ難民の町を占拠したイスラエル兵士たちが、
その体験について公に語る運動を起こしたのですが、その運動のことを意味しています。
「普通」の人間が権力を持ったときにどう変わっていくのか……それを見ると、
過去の日本軍のことがどうしても思い出されてしまいます。でも、今現在も、
「考えない」「見ない」ことによって平和な暮らしをしている自分にも
つきつけられている問題なんですよね。イスラエル軍に破壊された廃墟で、いたたまれず
泣き叫ぶアメリカ人女性の姿が自分にも重なって、苦しい気持ちになりました。
- 守護天使
(2009/6/21, シネマクレール丸の内2):
清純な女子高校生を守ろうとするみっともない中年男が主人公。
人ごととは思えないので見ていてちょっと痛いかも(笑)。
彼と妻の関係が、けっこうメインのテーマになっています。
ちょっと納得はできないですけどね(笑)。
大奮闘して最後は彼女を救うのですが、彼女のピンチが迫っているのに、
主人公たちはけっこうのんびりしていて、
早く警察に連絡しろよ〜、と見ていて思ってしまいました。
赤○○とか代用の前○なんかがあとで役だったりして笑えます。
- ダイアナの選択
(2009/7/12, シネマクレール丸の内2):
オープニングの花が映るシーンのCG(?)がとても綺麗です。
コレを観るだけでも十分満足できます。
そして、主人公のユマ・サーマン……の素敵なこと……。
はっきり言って、高校生時代の彼女は全然魅力的でないんです。
ビジュアル的にも性格的にも……。だけど、「その事件」を経た彼女は全然違ってる……。
なのでですね、このラストで明かされる真相ははっきり言って納得できないです。
人間はそんなに急に成長できないでしょう。
あまりにも「作った」話でした。最後の直前までは好きな映画だったんですが……、
ちょっとがっかりです。
- 精神
(2009/7/18, シネマクレール丸の内1):
岡山公開初日に行ってきました。早めに行ったんですけど、凄い列!
なんと早い方は7時半ぐらいから並んでおられたのだとか……。
列に並んでいる時にも、映画に登場する美咲さんだとか、想田監督、
そして監督の奥さんも、並んでいるお知り合いの方々に挨拶しておられ、
それを目撃しているだけで盛りあがっていきました。
10時開演で、通常は10分前に開場のところを30分前に開場!
こんなにたくさんの人がシネマクレールに並んだのは初めて観ました。
ぼくの番号は34番ということで、席のことが心配でしたが、前に並んでおられた方々は、
上映後のティーチ・インが目当てだったのでしょうか、幸いぼくの好きな最後列はかなり空いていて、
真ん中近くで見ることが出来ました。
映画は4月の試写会ですでに観ていたので、そのときとても心に残った岸本さんのことが
どうしても気に掛かりました。彼女が自分の作った短歌を皆の前で披露するところでは、
涙がこみ上げてきてとても困りました。
この映画を観て、健常者と精神病患者の境がわからない……と言われる方もあるのですが、
ぼくは逆に、他の人には想像もつかない苦しみを抱える人たちがいるいうことを思い知らされた、
という気がします。
- 映画は映画だ
(2009/7/18, シネマクレール丸の内1):
キム・ギドクの原案・製作ときけば、これは見逃すわけにはいきません。
で、ですね……、やっぱり男と男の話って、あんまり面白くないんですよ〜。
ときめかないというか……。もう少し、微妙な話が観たいですね。
- ハイキック・ガール!
(2009/7/22, シネマクレール丸の内2):
これ、Nさんのブログで激賞してあったので、ふらふらと観に行ったのですが……、
主人公の高校生の強くてチャーミングなこと! すっかり惚れました。短い映画で、
しかもアクションシーンはスローモーションで再度、時には、さらにもう一回映してくれるので、
中身はすごく少ないんですけど、満足です。ラストの彼女の表情には、蕩けました。
後になるほど敵が弱くなると言うのさえなんとかしてくれたら、名作になったと思いますよ。
- チェイサー
(2009/7/27, シネマクレール丸の内2):
おっかない映画だというのは、予告編で知っていたんですけど、怖いもの見たさで観て来ました。
最初に女性が監禁されて、ノミを頭に打ち込まれそうになるシーンは、
おっそろしくて、ほんとに背筋がぞ〜っとしました。
一人のお客さんは、そのあたりで、席をたってしまわれたので、
あらら……、気持ち悪くなったのかな……と思っていましたが、かなり時間がたってから
復活してこられました。てっきり、もう帰られたと思ったんですけどね。
この手の映画に共通することですが、主人公を含む複数の人物が、決定的なミスをしでかします。
思い込みがあるんですねぇ、冷静に考えれば防ぐことができたものを、自ら、
最悪な結果を招くような方向に引っぱっていきます。
主人公は犯人の手がかりを違法に警察の手から奪い取っておきながら、事件を甘く考え、
自分の手で解決しようとします。犯人の恐ろしさに気づくのが遅すぎるのです。
監禁される女性の子どもが見事な演技をしています。切ない話ですね〜。
- 妻の貌(かお)
(2009/8/12, シネマクレール丸の内2):
見ていて撮影している監督さんと撮されている奥さんの関係が微妙で……、
心臓に悪かったです。奥さんは被爆による甲状腺がんで体調が悪いのに、
お客さんがあったせいで食器の後片付けがとても大変そうな様子を、
一生懸命撮影する夫。「大変だったら明日にしたら」とは言うものの、
「ぼくが替わりにやっておくから休んで」とは決して言わないのです。
ひどい夫かというと、必ずしもそうではなくて、妻の通院のために、
まめに車で送迎します。つまり、この人の頭の中では、男の仕事と女の仕事が、
はっきり分けられていて、絶対女の仕事には手を出さないんです。
そういう風に育った世代なんですね〜。
- サマーウォーズ
(2009/8/19, MOVIX京都):
大きい画面で見たんで、とっても迫力はありましたが、設定がどうも納得いかず、
緊迫感もなく、ちょっとがっかりでした。退屈だったてほどではないんですけれどね。
例えばですね、暗号を解くシーンなんですけれど、単に数字が並んでいるだけなんで、
「鍵」もなにもなかったように見えたんですけれど、
一体どうやってパスワードが見つかるんでしょうね〜。
もし「鍵」を知っていたにしても、あれだけの膨大な数って、
紙に書くだけでも大変じゃないですか! 一秒に4つ数字がかけるとして、
仮に千桁とすると、書くのに250秒、つまり4分ちょっとかかってしまいます。
まあ、それはいいとして、一番問題なのは、
謎のアバターがどのようにして操作されているのか全く説明がないこと……。
なので、さっぱりイメージがつかめません。
なんで、仮想世界OZの中で戦わなきゃいけないんでしょうね〜。
「時をかける少女」のほうがよかったな……。
- 花と兵隊
(2009/8/22, シネマクレール丸の内2):
戦後、ビルマやタイなどの東南アジアに残った元日本兵たちとその妻たちのドキュメンタリー。
坂井さん・中村さんも印象的でしたが、一番強烈だったのは藤田さん。
突然押しかけた監督さんに対し、とても不機嫌でぶっきらぼう。
とんでもないことを訊く監督さんにも焦ったけれど、見続けていくうちに、
この人が、自分のしたこと・日本軍のしたことから決して目をそらそうとしていないことに、
胸をうたれました。そして、亡くなったタイ人の妻の写真を見るときの、
信じられないあの優しい表情!
今月見た映画では最もインパクトがありました。
オススメです。
- 路上のソリスト
(2009/8/22, シネマクレール丸の内2):
新聞のコラムニストと統合失調症のホームレスの、実話に基づいたお話し。
コラムニストがなんだか軽薄な感じで、ちょっと興ざめ。
実際の所統合失調症の人と関わることはとても大変なことだと想像できるし、
この映画を見ていてもそれがひしひしとわかるので、見終わって、なんか
お腹の中に重いものが溜まったような感じになってしまいました。
実際に関わっていて、しかもそこから逃げられない人にとっては、
苦しい映画でしょうね。
- ディア・ドクター
(2009/8/25, シネマクレール丸の内2):
この監督さんの『ゆれる』はどうも苦手だったし、鶴瓶という人も苦手だったのですが、
評判がいいので、観に行きました。なかなかよかったです。
なんといっても八千草薫さんが素敵です。いくつになっても、綺麗な人は綺麗ですね〜。
鶴瓶との淡い恋(?)がいいじゃないですか!
そして、もう一人! 看護婦さんを演じた余貴美子さんも魅力的でした。
音楽もよかった。ブルージーな出だしの曲が特によかったですね〜。
- チョコレート・ファイター
(2009/8/26, シネマクレール丸の内2):
すごいアクションでした! 特にクライマックスの、
ビルの側面や高架でのファイトは見応えがありました。
NGシーン集を見たら、ほんとに皆怪我だらけだったようです。
タイ映画を観に行ったつもりだったのに、最初、日本語で日本の学校?みたいなところが
出てきて、なんかの間違いかとびっくりしましたが、タイと日本が出てくる映画でした。
阿部寛が出てきました(笑)。国際俳優になっちゃいましたね。
出てくる人物がみなヤクザばかりで、日本もタイも、いったいどんな国かと
思ってしまいそうです。
ストーリーは陰惨でした。よっぽどのアクション好きでないとオススメできません。
- 四川のうた
(2009/8/29, シネマクレール丸の内2):
予想はしていたんですけれど、退屈でした(笑)。前の『長江哀歌』は面白かったんですけどね。
前半は多分素人さんたちのインタビュー人で構成されていて、リュイ・リーピンが点滴のびんを掲げながら出てきたところから、役者さんの演技に変わっていきます。
その違いが大きいので、ちょっとしらけるかな……。ジョアン・チェンが出てきて、
「ジョアン・チェンと似ていると言われた」としゃべるところはウケました(笑)。
題は「四川のうた」ですが、日本語の歌や広東語の歌なども使われていました。
- セントアンナの奇跡
(2009/9/7, シネマクレール丸の内1):
最初と最後が現代(といっても戦後40年くらいの頃)、本体が過去(第2次大戦中)の出来事を描いています。こういうのってよくありますよね〜。例えば『タイタニック』とか。で、本作の場合、ラストの現代の部分が妙にしらけるんです。なんであんなにもったいをつけないといけなかったんでしょう……。冒頭の部分の殺人事件も、納得できません。あの状況で、問答無用で撃つかなぁ……。
大体予告篇で「実話に基づく」とかなんとか言ってたので、「奇跡」が実話なのかと思い込んで観に行ったら、そうじゃないんですね。メインのストーリーは完全なフィクションじゃないですか!
少年が幽霊に話をしたり、無線機を直したり(?)というシーンが続くので、ほんとにこの少年に不思議な力があるのかと思ってしまいましたが、どうもそういうわけでもなかったし、ラスト近くで本当に幽霊の姿を観客に見せてしまうのも、どう受け取っていいのかぴんときませんでした。
あと、ドイツ軍がどういう布陣をしているのか、舞台となる村が彼らにどのように囲まれているのか、米軍のジープ2台はどういう風にして彼らに遭遇しないで村まで来れたのか、それとも単に泳がされただけだったのか……その辺がさっぱりわかりませんでした。
とまあ、ぐちぐち文句を書きましたが、長い映画だったにもかかわらず、集中して観ることが出来ました。「チョコレートの巨人」と呼ばれたトレインのキャラクターと少年の魅力が大きかったと思います。また、黒人がアメリカ兵として前線で戦う……その気持ちにも様々なものがあることがよくわかりました。
景色も美しかったですね〜。
- buy a suit スーツを買う
(2009/9/12, シネマクレール丸の内2):
失踪していた兄から届いたハガキの差出人住所をたよりに、関西から東京に出てきた若い女性のお話。見つけ出した兄はなんとホームレス! 兄は学生時代、数学が専門ですごく優秀だったのに……。偶然近くに住む兄の元妻を呼び出し、二人を再び結びつけようとする妹。兄もけっこうその気になるのだけれど……。という感じの話です。この元妻が出てきてからやっと映画らしくなってきます。
映画らしくっていうのは、つまり、いかにも女優さんらしくちゃんと演技をしてるっていう意味です。兄妹はなんかまるでしろうとみたいな雰囲気。元妻にはなかなかしぶい魅力があるんだけれど、他の二人はちょっとね〜。兄も、まるで夢みたいなことしか言わなくて、普通の生活に戻れる見込みはなさそう……。元妻にとってはもう終わった関係なのです。でも、優しさは見せていました。元妻自身もなにやら荒んだ生活の色が濃く、疲れているみたいなのにね。
冒頭は秋葉原。次に上野不忍池、そして浅草と妹が移動します。兄が住んでいたのは、例のビール色の金斗雲みたいなオブジェの乗っかったアサヒビールのビルのそば。なじみのある場所ばかり。懐かしかったです。浅草って面白いところですね。ストーリーは特に惹かれるところもなかったんですが、浅草の雰囲気がすごくよかったです。まあ、大阪の新世界には負けるかな(笑)。
45分ぐらいの短い映画だったので、『TOKYO レンダリング詞集』という短編映画が引き続いて上映されました。街中の人びとが撮されるんですが、画像処理して動く絵画みたいになっています。ちょっと寝てしまいました。
- 子供の情景
(2009/9/13, シネマクレール丸の内2):
のどかな雰囲気のタイトルですが、舞台はアフガニスタンのバーミヤン。巨大な石仏が当時のタリバン政権によって破壊された場所です。映画の冒頭はまさにその爆破の記録映像から始まります。
(以下かなりストーリーに触れますので未見の方はこの先ご遠慮ください)
岩山に穴をうがち人が住んでいる様子をみるだけでも、観る価値があります。でもでも、見所はやはり主人公の少女・バクタイです。イランは本当に子どもの映画に優れていますね。(ふと思い出しましたが、中国映画の『變臉(へんめん)・この櫂に手をそえて』でも子役の演技が見事でしたし、巨大石仏が出てきました。)
バクタイは隣の男の子アッバスが小学校の教科書を音読しているのを聞いて、自分も学校に行きたくなります。アッバスは「学校に行くのならノートと鉛筆と鉛筆削りがいるよ」と教えてくれます。しかし、自分はお金を持っていないし、お母さんに出して貰おうと思っても、お母さんが見つかりません……。
映画の前半は、バクタイが自分の家の鶏の産んだ卵を市場に持って行って、文房具代を稼ごうとする様子を丁寧に描きます。なかなか簡単にことは運ばないのですが、なんだかんだあった後、ノートだけ入手できます。鉛筆は変えなかったのでその替わりに母親の口紅を持ち出して、アッバスと一緒に小学校に行きます。しかし、そこは男の子の学校でバクタイは追い出されてしまいます。なんとか女の子の学校にたどり着きますが、結局そこも追い出されてしまいます。このあたりまではけっこうコミカルなんです。
一人でとぼとぼ歩くバクタイがタリバンごっこをして遊んでいる男の子たちに捕まってからがすごいです。男の子たちはあくまでも「ごっこ遊び」をしているはずなのですが、石打の刑で手に石を持って来て取り囲んだときの恐ろしかったこと! どうなるかと思いました。ともかくバクタイが強情なものだから、いつまでも処刑ごっこが終わらないんです(ボスの男の子の当惑したような表情が印象的でした)。逃げても逃げても追いかけられ、そしてとうとう取り囲まれてしまいます。
「自由になるために死ね!」と叫ぶアッバスの声を聞き、ついに死んだふりをして倒れるバクタイ……一瞬ほっとした観客は次の瞬間血も凍るような思いをさせられます。見事なラストでした。
映画では、バクタイやアッバスの顔がかなりアップで映され、そのゆたかな表情に引き込まれてしまいます。バクタイのあのほっぺを食べちゃいたいくらいです(笑)。
そうそう、バクタイが女の子の学校になんとかたどり着いて教室に入り込むところ……おかしかったですね。子供用の椅子がないものだから、子供たちがみんな足をぶらぶらさせていました。しかもやりすぎなくらい。で、バクタイも椅子に座りたいわけですが、当然、空いている席なんかないわけで、そこに無理矢理入り込もうとするバクタイ、必死でそれを阻止しようとする女の子たち。本人たちは必死なのにとてもおかしい。教師が気づかないっていうのが、そもそもちょっとヘンなんですけどね。一人の子が教師にチョークを取ってくるようにいわれて教室から出た隙に、ちゃっかりその席に座ってしまうバクタイ。その子が帰ってきたら当然一悶着が始まります。
このシーン、ほんとにおかしいんだけど、「ルールのわからない場所に入り込んだときの居心地の悪さ」も感じました。というか、このシーンを見ながら、今年の1月、大阪の八尾グランドホテルというところに大衆演劇を観に行ったときのことを思いだしていました。夜の部だけ観に行ったんです。ここは温泉になっていて、一度入れば昼の部も夜の部もず〜っと見れるようなシステムになっています。入場券を買うときに、指定券があれば欲しいんですけれど……と聞いたところ、夜は指定券がないという返事だったので、それを「夜は指定席はない」という意味にとってしまったんです。で、劇場に行ってみると後ろの方には座って待っている人もいるけれど、前の方の席はあいているじゃぁありませんか。で、前の方に座ったんだけれど、次第になにかヘンだなと気づいたんです。椅子の背に長いゴムひもがついていて、それで座席が背にとめられている席があるんです。で、色々見回してやっとわかったのは、昼の部で指定席をとった人は、同じ席に夜の部も座れるんです。もちろん、昼の部だけで帰ってしまう人もあるでしょうが、夜の部も同じ席で見る場合は、背にとりつけられたゴムひもで座席を背にくくりつけて「ここは取ってますよ〜」と宣言しておくわけです。で、きちんとそういう風になっている席ばかりじゃなくて、割とルーズにゴムひもが掛けてあるようなものがいっぱい。これらは皆取られている席ではないですか! 焦って、どう見ても確実に取られていない席に移動。でも、ひょっとして誰か「そこは私の席なんですけど」と言ってこられるのではないかと、ほんとにドキドキしてしまいました。実際そういうトラブルも目撃してしまいました。心臓に悪かったです。小心者ですね〜。
- 非誠勿擾
(2009/9/16, 香港版DVD):
映画祭では「誠実なおつきあいができる方のみ」とか「誠意なる婚活」の題で上映されている中国映画(監督:フォン・シャオガン、主演:グォ・ヨウ、スー・チー)です。
北海道を旅行されたSさんからこの映画のことを教えて貰いました。
なんと北海道ロケをしてるんです。この映画が大ヒットしたせいで、今年は中国からの観光客が北海道に押しかけているとのこと! 観たくなって YesAsia で香港版DVDを買いました。この監督さんのコメディは好きなんです。9月10日に注文して、9月16日には岡山に届くんだから便利ですね〜。
グォ・ヨウがネットで結婚相手を探そうとする中年男チンを、スー・チーがたくさんのお見合い相手のうちの一人・シャオシャオを演じています。シャオシャオは漢字では「笑笑」で英訳は Smiley となっていましたが、笑顔を見せるのはかなり少ないんですよ〜。女性が沈んでいるのを見るのは辛いですね。チンはシャオシャオに一目惚れしてしまいますし、シャオシャオもそれがわかっている……だけど、彼女の心は……という話なんです。ちょっと切ないです。
ある意味、見ていて苦しい映画ですけれど、風景の美しさ、チンの誠実で節度のある態度が救ってくれます。
灯台のある場所に行ってみたいな。
- 扉をたたく人
(2009/9/20, シネマクレール丸の内1):
連休初日は仕事だったので、今日が実質的な連休の始まり。見たいと思っていた映画を二本観にいきました。一本目は『扉をたたく人』です。
メインの登場人物は4人。年配の大学教授、彼のNYのアパートに住み込んだシリア人の若者とセネガル人女性のカップル。若者の母親。このうち、大学教授がちょっとイヤな奴なんです。そんな彼がどう変わっていくのかというのがひとつのポイントです。(自分的には最後まであまり好きじゃないままでした。ごめんなさい。)
まあ、それはさておき、不安定な状態で外国に滞在するっていうのは、落ち着かないものですよね。
ぼくとバージニア工大で同期だった台湾の友達は、Ph.Dをとってオハイオかどこかの大学で働き始めたんだけど、そのとき、グリーンカード(永住権)を申請したんです。学生のときは当然F1(学生ビザ)を持っていましたが、卒業後1年間は practical training の期間として滞在を延長できます(当時)。グリーンカード申請中は、そういうものが無くなるわけです。そのときに手続きにトラブルがあって(たしか並行してJ1(交換ビザ)を申請してしまったとかなにか……)、彼と家族3人、全員が台湾に強制送還になってしまいました。後にまたアメリカに戻ったという噂をきいたんですけれど、今どこにいるのかなぁ。
ぼくは就職がミシガンだったので、当時(1982年)日本人への反発が強く、ミシガンでは絶対グリーンカードは無理だ、バージニアにいるときに手続きを始めればよかった、F1からJ1への変更すらミシガンでは危ない、一旦国外へ出てJ1を取るといいと勧められ、結局トロントでビザを取り直しました。ああいう手続きってほんと緊張しますね〜。もしなにかあったらどうなるんだろうと、少し心配してしまいました。結局はすんなりうまくいったのですけど。
それから某姪っ子がバレエをやりたくてロンドンに滞在していたんですけれど、観光ビザかなにかで出入りを繰り返していて、結局強制送還になっちゃいました。
香港映画の『ラヴソング』では、強制送還になりそうだったマギー・チャンが飛行場まで送られていく途中で逃げ出してしまいました。でも、いい弁護士がついて結局はグリーンカードを取れる……みたいなことになるんですよね。『扉をたたく人』でも、昔は大丈夫だったけれど、9・11以降、がらっと変わった、というような話が出てきました。この映画のような体験をする人が増えているのでしょうね。
若者の母親は『シリアの花嫁』で花嫁の姉を演じた女優さんがやっています。あの映画でも、凛とした素敵な女性でしたが、この映画でも、魅力的でした。ちょっと弱さを見せすぎたような気もするし、また成人した息子のことを構いすぎるんじゃないかなとも思いましたが、素敵な女性の場合はなにがあっても許せるので、オッケーです。(最後で、彼女が過去に致命的なミスを犯していることがわかります。それを知って彼女の過敏さを納得しました。)
最初にも書いたのですが、教授はほんとに好きになれないタイプなんです。学生に対するあの突っ慳貪な態度。やる気のない授業。そんな男なんだけど、困っている若い2人には助けの手を差し出します。自分の学生に対してはあんなに横柄な態度をとった男なのに、なぜ? それはひょっとしたらインテリの異教徒や有色人種に対する罪悪感のせい? それとも格下と思う人間へのアメリカ人の過剰な親切心のせい? それとも女性には優しい?(ピアノ教師には優しくなかったですね〜。おばあさんだから?)そのあたりのところはわからないんですが、でも映画を観ていて、彼がふたりを呼び戻したところで、ほっとします。
若者が逮捕されたきっかけの地下鉄のシーンは、あのカードのシステムがあまりぴんと来なかったので事情がよくわかりませんでしたが、そのことを自分のせいだと彼が思っている様子はよくわかりました。彼のその罪の意識が、その後の献身的な援助の動機付けなのでしょう……。
彼自身、妻を亡くした後、ちゃんとした仕事をしていないことの後ろめたさ、自分がやってもいない仕事の発表をせあざるをえないことの後ろめたさ、やっぱりそれなのかなぁ……。彼自身が自分の居場所がない不安定な状態だったんですね。
ラスト、地下鉄ホームでジャンべを演奏する彼は全身から憤りというか怒りを発してましたね……。国のシステムに対する気持ちでしょうか。自分の無力さが無念だったのでしょう。でも、彼の存在が3人にとって、特に母親にとって支えになったのは確かでした。だから、あそこはシリアに戻った2人、アメリカに残っている1人のためにも、優しく優しくたたいてほしかったです。
ところで、原題の「訪問者」って誰のこと?
- いけちゃんとぼく
(2009/9/20, シネマクレール丸の内2):
『扉をたたく人』の次に『いけちゃんとぼく』を観ました。これは、西原理恵子さんの原作絵本がすっごく気に入ったので、絶対観たいとおもっていた作品でした(貸してくださったI先生、ありがとう☆)。ただ、原作が良すぎたので、映画の方はちょっと心配だったんです。そもそも、ポスターを見ても、予告編を観ても、原作のラストのネタを皆ばらしてしまっているではありませんか! ということで、不安な気持ちで映画を観ました……。案の定、原作では最後の最後で明かされる「いけちゃん」の正体は、映画の冒頭で明かされてしまいます。なので、観てる人にはいけちゃんの気持ちがやたらわかりすぎるぐらいはっきりわかって、ついぐぐっときちゃうんですよ。この映画はちょっとやりすぎ……。白けながらも蒼井優ちゃんのせりふで泣いてしまったではないですか。恥ずかしい……。
以下でいちゃもんをつけるので、見たくない人は先に進まないでね。
この映画では、「ぼく」が次第に成長していく姿を一生懸命えがいているんですけれど、悪ガキふたりとの関係、さらにはよその町の連中との関係、それがあまりにも安易な形で解決されてしまうというのが、どうにもこうにもあんまりなんじゃないかと観ていてしらけてしまいました。気持ち悪かったです。
そもそも石をやたら投げすぎ。あれじゃあとっくに死んでます。原作では石があたったのは多分一回だけ。それから船の櫓で殴られたのも多分一回だけ。
あと、いらないと思ったのは父親と母親。子どもの世界に親はいらないと思うんですけど、それってヘンですか。母親が出てくると話がユルくなってしまいます。
ご飯をたくさん食べるときに、茶碗を3つも4つも用意する意味がわかりません。受けると思ったのかなぁ。そんな馬鹿なことするわけないじゃないですか。そもそ冷めるし。
ひとりっこだったのに、葬儀の時は兄弟からの花が飾ってあったのはどうして? 母親が再婚したとかいう設定?
……
と、まあ、ぐじゃぐじゃ書きましたけど、いけちゃんはほんとに可愛いですね〜。ふたりの関わりだけをずっと描いてるだけでもよかったんじゃないかな〜。短い映画になっちゃいますけどね。
いけちゃんの声を聞くたびに、ううううっとこみ上げてきて困りました。映画館を出て、丸善に直行して原作絵本を購入しました。
- 火天の城
(2009/9/23, 岡山メルパ):
メルパで『火天の城』を見てきました。なんというか……心に全く響いてこない映画でした。そもそも西田敏行が好きではないので見たいという映画ではなかったんですよ〜。でも、知り合いの知り合いが前売り券100枚ぐらいを負担させられて困ってるって聞いちゃあ、何枚か買ってあげないわけにいかないじゃないですか……。
大竹しのぶの演じた女性もニコニコしてるだけじゃだめだってわかったんじゃないの? 涙を見せて気持ちを口にするまで、西田は気持ちをわかってくれなかったんでしょ? それなのに、娘にいつも笑ってろなんて伝えて……馬鹿みたい……。最期に「幸せだった……」とか言ってたけど、どこがどう幸せだったの? 冗談でしょう……。
あの娘も、あの格好で梯子を昇るのは無謀すぎると思います。
最低なのは、西田演じる男。通し柱を得られる見込みがないのに、あざといパフォーマンスで仕事を分取るって、いったいどういうつもり? 緒方直人が可哀想すぎるじゃないですか。
ただ一人山本太郎の演じた男はまっすぐで、見ていて気持ちよかったです。やっぱり惚れた女に一途な男がいいですね〜。
それから4寸削るエピソードは面白かった……というか手に汗握りました。その路線で……ちょうど「プロジェクトX」みたいに……全編を通せばもっとおもしろかったのにね。
- マン・オン・ワイヤー
(2009/9/25, シネマクレール丸の内2):
昔、NYのワールド・トレード・センターのふたつのビルの屋上を結ぶワイヤーの上で45分間に渡って綱渡りをした人がいるんです! この映画はその実行過程などを描いたドキュメンタリー。過去の映像や写真・再現ドラマ・本人(フィリップ・プティ)や関係者のインタビューなどで構成されています。昨夜、シネマクレールで観てきました。
WTC で綱渡りをするというのは、フィリップがこのビルの建設計画を新聞で読んで以来の夢。それに向けて、パリのノートルダム寺院やシドニーの橋などでゲリラ的に綱渡りを実行していきます。そして、WTCのビルがついに一番上までできた(ただし、まだ未完成)とき、いよいよ夢の実現に向けて動き出します。
一番の難関は、どうやって警備をかいくぐり、ワイヤーなどの道具を屋上まで運ぶかということ。それが実際に実行されたっていうことは本当に奇蹟みたいな話です。ただ、フィリップと仲間たちの間には微妙なズレがあり、そのズレは計画をたてる段階・実行の段階を経て、次第に大きくなっていきます。実際、途中であきらめてしまった仲間もあったりします。特に印象的だったのは最大の支持者だったジャン=ルイ(だったかな?)のインタビュー。彼は何度か涙がこみ上げてきて、絶句してしまうんです。常にハイテンションでしゃべり続けるフィリップと対照的! そして、夢の実現とともに、ずっと一緒だったガールフレンドとも別れてしまうことになります……。
見終わって何とも言えない気持ちになる映画でした。オススメです。シネマクレールでは終わってしまいましたが……。
(観ていて『運命を分けたザイル』を思い出してしまいました。)
- 台湾人生
(2009/9/26, シネマクレール丸の内):
シネマクレール丸の内2で『台湾人生』を観ました。監督の酒井充子さんの舞台挨拶・質疑応答があるということで、ほぼ満席☆
現在80代の「日本語世代」の方たちへのインタビューでできたドキュメンタリーです。何十年も続いた日本統治の下で日本人として生まれ育ち、志願して兵隊になったり、工場で働いたりしていたのに、日本の敗戦で、日本国から「捨てられ」た人たち……。日本への気持ちは複雑です。ずっと隠してきた気持ちを突然語り出す人……その貴重な声を聞くことができて本当によかった。7年間掛けて撮影された酒井監督の労作です。
次の映画の切符を購入していたので、上映後の質疑応答は途中で抜け出さなくてはいけませんでした。残念! 元もと台湾映画への関心から台湾を旅されたとき、バス停で台湾の方から日本語で話しかけられたのがこの映画を作るきっかけだったとか……。最初は普通のドラマをつくろうと思っておられたのですが、その準備のために色々インタビューしているうちに、これを直接伝えようということになったそうです。監督さんはどんな台湾映画がお好きなのかな……。
- 縞模様のパジャマの少年
(2009/9/26, シネマクレール丸の内2):
父親がナチスのユダヤ人強制収容所の所長として赴任し、それに伴ってベルリンから引っ越してきた男の子を主人公にした悲惨な話。登場人物の描写がかなり類型的で深みに欠けます。ただただ悲惨なだけ。これを観ないで『台湾人生』の酒井監督のお話を聞いていればよかった……。
- ウェディング・ベルを鳴らせ!
(2009/9/28, シネマクレール丸の内):
メンズ・デーで千円の日。シネマクレール丸の内2で『ウェディング・ベルを鳴らせ!』を観てきました。
ドタバタ喜劇だけど、けっこうロマンチック。主人公の男の子がかわいいし、女の子もとても綺麗。この二人がチャーミングなので、ドタバタなのにあまり引くことなしに楽しめました。男の子のおじいさんと近所の女性のロマンスもなかなかいいですね〜。
セルビア風の音楽なのかな? とてもエキゾチックな音楽がずっと使われていてそれも楽しいです。
主人公たちを助ける二人組の大きい方の人(監督の息子さん!)が一見怖いんですが、目はやさしくてなんかほっとします。
けっこう下品だったり、痛かったり(アウチ!)するシーンもあるので、そういうのが苦手だったら耐えられないかもしれません。手で目を隠して見てください。
いやぁ、賑やかな映画でした。
- 空気人形
(2009/10/3, シネマクレール丸の内):
シネマクレール丸の内で『空気人形』の初日・第一回を観てきました。話題作……というほどでもないのかな? 20人ちょっとぐらいしか入っていませんでした。
心を持ってしまった人形の歓びと哀しみをペ・ドゥナが無表情に演じています。彼女にぴったりの役です!登場人物が皆、ひとりぼっちで「からっぽ」。彼女が恋に落ちる青年も、楽しいはずのデートの時でさえ、なんだか寂しそう……。
ある事故でぺしゃんこになってしまった彼女に、青年が空気を入れるシーンが一番昂揚するシーンでした。他はあまりに無表情で淡々としているので、少し(?)寝てしまいました(汗)。
ペ・ドゥナは魅力的でしたが、ちょっと物足りなさの残る映画でした。
- BOTH
(2009/10/11, e-とぴあ・かがわ BBスクエア):
高松の「第5回・香川レインボー映画祭」で『BOTH』『TOPLESS/トップレス』の2作品を観てきました。
『BOTH』は「インターセックス」を描いた映画です(2005年/86分/アメリカ・ペルー/監督:Lisset Barcellos):
“バイセクシュアルのレベッカは、仕事や友人、恋人がいるにも関わらず、何かが足りないと感じている。ある日送られてきたアルバムには、両親と、ずっと前に死んだ兄の写真があったが、レベッカは写っていなかった。自身の幼年期が、両親と医者の嘘によって塗り固められていたことを知る…。インターセックス(半陰陽)に生まれた人の経験に基づいて作られている。”(映画祭資料より)
主人公レベッカがとても魅力的な人なので吸い込まれるように観てしまいました。取り返しのつかない“治療”をされてしまったレベッカですが、最後は少し心が和らぐ終わり方になっていて救われます。映画にはもうひとりインターセックスの人物(子ども)が出てきます。その子はレベッカの場合とは異なる育ち方をすることになります。これからどうなるのかは描かれていません。この子がこのままで生きやすいような社会になっていくといいですね。そのためにはもっとたくさんの人がこういう映画祭に来て下さるといいと思うんですけれど、朝だったせいか、観客数はそれほど多くはありませんでした。残念。
- TOPLESS/トップレス
(2009/10/11, e-とぴあ・かがわ BBスクエア):
内容は以下の通り:
“自由気ままに生きるレズビアンの夏子は、失恋の寂しさから手当たり次第にナンパしまくる毎日。夏子に辟易しながらも想いを寄せている同居人の光司。そんなふたりの前に、女性と駆け落ちした母親を捜す女子高生カナが現れる。一方、夏子の恋人だった朋美は初めて男の恋人を作る…。誰もが考える、将来、今、恋愛、幸せのこと。女の子たちのリアルを描いた Girl's movie!”(映画祭資料より)
夏子を演じた清水美那さんが無茶苦茶可愛いです。たとえていえば『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョン。というか、もろに同じ設定といえなくもありません。
とっても凶暴で、チャ・テヒョンじゃなくて光司は、蹴られたりはたかれたりしながらも、夏子が失恋の痛手から立ち直るのをじっと待っているんです。でもその彼が夏子の朋美への愛情の強さに深い絶望を感じ、頭から水をかぶって泣くシーンは切ないです。それでも友達として夏子を支え続けていくんですよ。何年か後には、他の女性と結婚するんですが、夏子のことをひきづらないで、幸せな結婚をしてほしいですね。不幸の再生産の連鎖だけはあってほしくないです。
映画上映の後、監督さんと清水さんのゲスト・トークがありました。実物も細くて可愛い方でした。あ、清水さんの方ですよ(笑)。
『TOPLESS』という題名は、隠しているもの(心)を表に出すというような意味を込めてあるそうです。
- 湖のほとりで
(2009/10/23, シネマクレール丸の内1):
イタリアの田舎町が舞台です。ときどき見えるそびえる山が見事! 町並みも感じがいいし、住んでみたいです。
でも、映画の内容は重苦しさに満ちています。殺人事件の捜査を描くミステリーっぽい映画ですし、なにしろ冒頭で、少女が変質者かと思われる男に誘われて車に乗り込んでしまって「勘弁してくれ〜」と思ってしまうようなドキドキするシーンが続くんですよ〜。心臓に悪かったです。
登場人物のほとんどが重荷を背負っている人、愛する人を失ってしまった人たちばかり。それが夫婦や家族の間に距離を作ってしまうんです。観ているのは辛いものがあります。でも引き込まれてしまいました。どの人もなにかしら共感するところがありました。被害者の女性の姉と主人公の警部の娘が脇役ではあるけれども、特に惹かれました。
被害者の女の子の「像」があまり浮き上がってこなかったのが残念。
- 女の子ものがたり
(2009/10/26, シネマクレール丸の内2):
これ、実はあまり期待していなかったんですよ。原作では不細工な女の子たちが、映画では綺麗な女の子たちによって演じられていることに対する不満を書いたものを読んでいたせいなんです。たしかに原作の3人は映画の雰囲気と、大部違いますね〜。エンドロールにちらちら出てくる画像を見ただけですが……。
でも原作のことを気にしなければ、これはこれですっごくいい映画でした。悲しいとき辛いときに呪文を何度も何度もとなえて頑張る姿も健気でした。友達と一緒にいることの幸せな感じもしみじみと伝わってきました。
ただ、子どもの時の姿と現在の姿があんまり重ならなかったかも。
- のんちゃん のり弁
(2009/11/7, シネマクレール丸の内):
てっきり、のんちゃんっていう主人公がのり弁を作ってがんばる話かと思っていたら、のんちゃんというのは主人公の女性の子供の名前でした(^^;
仕事をしない夫に愛想が尽きて幼稚園児の娘を連れて実家に帰った主人公、自立しようとするお話です。主演の女優さん・小西真奈美さんははじめてみた(多分、記憶にないので)のですが、元気がよくて気持ちのいい主人公にぴったりでした。平凡に生きていると、こういうなにか自分に隠されていた才能を発見してそれを成長させていく人を描く映画って、観ていて本当に嬉しいですね。
登場する男性陣はちょっと……という感じでしたね。ダメダメな夫はもちろん、最悪なのですが、それが突然、心を入れ替えたりするのはかえってあり得なくて不自然でした。高校の同級生だった男性も、乱暴な彼女の姿に引いたのか、子供が父親を恋しがる姿に負けたのか、そのあたりがわかりにくいのですが、ともかく去っていってしまって、もの足りません。いいのかそれで!って思っちゃいました。
子連れで実家に帰ってがんばる主人公の姿を見ていると、同様の体験をした友達のことが連想されて、こんな風に頑張ったんだなぁと思いながら映画を観てしまいました。
- キャラメル
(2009/11/12, シネマクレール丸の内):
これはなんとレバノンの映画。何度も予告篇を見ていて、なんで美容室の話なのにキャラメル?!って思っていましたが、なるほど……そういうことでしたか(笑)。納得しました。すごく痛そうです。
映画は、ある美容室で働く女性やその周りの女性たちの悩みや歓びなどを描いていて、とっても優しい気持ちになれるいい映画でした。主人公の女性(監督や脚本も担当!)は昔の夏木マリみたいでそれほど好みではなくて、一番心惹かれたのは、紙くずひろいが趣味の惚けたようで惚けていないような不思議な姉の面倒を見ながらひっそりと暮らしているローズという女性。年をとっていてもとても素敵でした。彼女のことを好きになる男性が現れて、ついにデートの約束をし、初めて美容室で髪を染めて、お化粧もするのですが……、結局、彼女は化粧を落とし、デートに行くのをやめるんです……。ふぅ〜(ため息)。
レバノンってキリスト教徒もいるんですね。この辺の宗教事情も面白そうです。
- 夏時間の庭
(2009/11/12, シネマクレール丸の内):
邸宅に家政婦と住む年老いた母親、そして離れて暮らす3人の子どもたち、そしてそのこどもたちの物語。物語というとちょっと間違いかも。ストーリーは母親が死んで、残された家とアートをどう処分するかという話が淡々と進むだけです。悪い人は出てこないけれど、特に惹かれることのない登場人物たちを観ていると、なんのためにこの映画が作られたのかよくわからなくなってきます。ちょっと期待はずれでした。
- クヒオ大佐
(2009/11/, シネマクレール丸の内1):
堺雅人が「アメリカ空軍パイロットでカメハメハ大王やエリザベス女王の親戚」というふれこみの結婚詐欺師を演じています。実在の人物がモデルですが、映画はどちらかというと喜劇。最初こそうまくいくものの、後半は正体がだんだんばれていく滑稽な展開。で、笑えるかというと、なにしろだまされる女性が痛々しくて(特に一瞬、泉ピン子かと見間違いそうな松雪泰子さん)そっちが気になってしまいます。
主人公の子供の頃の父親の暴力の話も出てきて、母親とは強く繋がっていたようですが、それが結婚詐欺とどう関係するかは不明。
結婚詐欺とは関係ないですが、やはり女性を捨てる話でウディ・アレン監督・ショーン・ペン主演の『ギター弾きの恋』っていうのがありましたが、あっちのほうが説得力がありました。
- LOVE/JUICE
(2009/11/15, オリエント美術館ホール):
新藤風監督が23歳の時に作った作品。11月15日の朝、オリエント美術館のホールでみました。岡山映画祭での上映です。監督も来場され、最初に簡単な挨拶、上映後にインタビューや質疑応答がありました。
レズビアンを描いた作品と言うことでちょっとムッフッフな気持ち(笑)で観に行きました。実はこの作品はテレビ番組「つんくタウン」での資金提供に応募して作られた作品なんだそうです。審査員のオッサン対策にちょっと怪しい題をつけたのだということでした(爆笑)。まだ若かったのになかなかの手腕です。
主な登場人物は、レズビアンでボーイッシュな千夏(写真撮影が好き)とストレートで自由奔放な今日子(絵やオブジェを作るのが好き)の二人。古い一軒家を借りてあくまでも友達として気ままな暮らしをしています。夜な夜なクラブに遊びに行っては、それぞれ遊び相手を探す日々。お金に困るとバニーガールのアルバイトをしたりします。
ふたりが一緒に楽しい生活をしているのをみるのはとても楽しいです。スーパーで買い物をするシーン、一緒に熱帯魚店に行って(あ、ここの店員が西島秀俊、10万円のギャラだったとか……)今日子が千夏に金魚をねだったりするシーン、一緒にベッドに寝ていて、腕枕をしたいとかいやだとかいうシーン、などなど色々あります。それから、途中、ふたりがフライドチキンにかぶりつきながらおしゃべりするシーンがあるんです。その時、今日子が千夏に「千夏が死んだら食べたい」というんですよ。それで千夏も「死ぬ前に連絡するね」なんて答えて、今日子がどう猛に千夏にかぶりつくマネをしたりするんです。「生きていくために食べる」というモチーフは、熱帯魚店のピラニアが他の魚をえさとして食べるシーンにも表れていました。
今日子は、友達として、千夏にすごく頼っています。一方千夏は今日子のことを恋していて、恋人になりたいという苦しい気持ちでいっぱい……。千夏は関係の発展を望み、今日子は望まない……そのずれが段々大きくなり結局、これ以上苦しみたくない千夏は家を出ます……。
ラストシーンでは、今日子が一人で大きな鍋にスープを作っています。千夏との別れを悲しんだ今日子でしたが、また日々の生活を続けていく中で明るく立ち直っていく予感を感じさせます。
全編を通じて声にややエコーをかけ、始終、水が流れる音が聞こえるのは、二人が羊水の中にいる雰囲気を出したかったからだと監督はおっしゃっていました。
実はですね、ラストの鍋を見たとき、それがあまりに大きいので、一瞬、「ゲッ、千夏の首がはいってたりしないよね……」と思ってドッキリしまいました。まぁ、展開上、ありえないですけど(苦笑)。
で、ですね、千夏を演じた奥野ミカさんが可愛いんです。短髪でクールで……でも、一度だけ、メイクをするシーンがあって、その時の表情に蕩けてしまいました。
- 小梅姐さん
(2009/11/18, オリエント美術館ホール):
「赤坂小梅」っていっても知らない人がほとんどだと思います。ぼくも知りませんでした。映画の冒頭で、舟木一夫さん(名前が出ないと誰かわかりませんでした)と島倉千代子さんが、小梅さんの思い出を語ります。島倉千代子さんは「一番印象にあるのは『黒田節』。歌を聴いているとその声に体が後ろに押されるような感じがした」と語られるのを聞くと、否が応でも期待が高まります! そして流れてくる小梅さんの歌……おぉぉ、たしかにしっかりした声です。
小梅さんは筑豊出身。家の前に検番(芸者の稽古場)があったため、三味線の音を聴くと居ても立ってもいられないほど芸者にあこがれ、16歳の時、家族の反対を押し切って芸者になったという人。その後、スカウトされ芸能界に入ります。1942年に出した「黒田節」が大ヒット! 戦争中は日本国内・中国などを慰問します。戦後も歌い続け、各地の隠れた民謡を発掘しレコード化してゆきます。若い頃はふっくらしている程度でしたが、全盛時はオペラ歌手か!と思うほど太って迫力があります。映画にも出演しているんです。江戸時代の芝居小屋で、土俵の上に昇って相撲取りのような姿で歌うシーンは凄い(笑)。必見です。次第に声が出なくなってきて、1981 年に75歳で引退し、千葉の館山に住みます。だけど、歌をやめたわけではなく、毎日歌い続けるんです。1992年に亡くなっています。
ともかく歌一すじに生きた人、歌しか出来なかった人、……なんですね。最初の夫が死んで再婚した相手の連れ子が、「家のことはいっさいしない人でした」と語っていましたし、亡くなるときまで姪がずっと付き人をして面倒を見たのだそうです。やはり「自分ではなにもできない人」だったそうです。まさに「歌バカ一代」。
一番驚いたのは、引退後の歌の録音でした。声がでなくなってやめたはずなのに、そして、ずいぶん痩せているのに、驚くほどの声量! すごい人です。
映画は、その時々の映像を流します。最初の方では、炭鉱の風景、炭鉱街での盆踊り(?)の風景、戦争中では、特攻隊の出陣のようす、敗戦後の日本の風景、……これらも興味深かったです。
最初の夫、そして二人目の夫、彼らとの関係はほとんど描かれませんでした。そのあたりちょっと気になりました……。
- あの日、欲望の大地で
(2009/11/20, シネマクレール丸の内):
14, 5年前の事件、1週間前ぐらいの事故、現在の話が並行して同時に描かれます。さらに昔のことも時間が前後して語られるので、どこにどういう風に収束していくのか……とても緊張感のある映画でした。そういう映画なので、できれば何も読まずに、予告篇も観ずに観た方がよりドキドキできる映画だと思います。
荒々しい海の波、草原の風景、ずっと広がる農場、……皆、美しかったですが、主人公の自傷行為には目を背けたくなるかも……。
母親が家族のことを省みず不倫にふける様子、それに気づき怒りの気持ちが大きくなっていく主人公……痛々しい映画です。
ただ、傷つき、そして互いに引き寄せられていく若い二人の姿は、ひやひやしながらも応援してしまいます。
見終わって、見応えはあったなと感じました。でも、落ち着いて考えてみると主人公の気持ちが納得できたのか、というと必ずしもそうではないんですけどね……。
- ジンジャーエール
(2009/11/21, オリエント美術館ホール):
昨年8月亡くなられた田淵史子さんの最初の監督作品。2001年に作られました。元もと演劇の方でしたが、病気になられてから映画を撮ってみようということになったようです。冒頭、輸送車に乗せられたジンジャーエールのびんのつまった箱が映り、工場内部のシーンを背景に「ジンジャーエールのびんは50回生まれ変わる。……」というメッセージが映し出され、『あ〜、この人はもう死を覚悟していたのだな……』と思わずにはいられませんでした。内容も実際そういうものでした。10年後に開けようとジンジャーエールのあき瓶をタイムカプセルとして、10年後になりたい自分を書いて封じ込めた中学生3人。しかし、それを再び読むことができたのは、自分の名前しか書けなかった主人公だけだったのです。そして「自分の名前しか書けなかった自分に救われた」と思ってしまう主人公……これは自分の10年後を思い描くことを許されなかった田淵さんの気持ちなのでしょうか。
今年の3月、田淵さんの追悼演劇公演「季春」を観たときの記録はこちらにあります:
第2作目の『月に星』の紹介写真はシネマジャーナルの作品紹介ページにまだ保存されています。これも上映できるといいですね……。
試写を観たときのぼくのメモ程度の簡単な感想はこちらのページの一番下にあります。
- しゃけは涙
(2009/11/21, オリエント美術館ホール):
さて、引き続き、岡山を舞台にした『しゃけは涙』を観ました。幼い頃の事故でてんかんと知的障害を負った太作(50歳)とその母・兄・甥夫婦の物語。兄の事業の失敗などもあって、経済的に困難な状況も起きると思うのだけれど、そのあたりはあまり深刻に描かれていません。つかの間ですが、心を空っぽにして、太作とつきあうことができました。
- 長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語
(2009/11/22, オリエント美術館ホール):
ビンアイという女性の6年(7年?)を追ったドキュメンタリー。
山峡ダム建設により、多くの人びとが無理矢理移住させられました。体の弱い夫を持つビンアイの家も川に沈む運命にあり、立ち退きを迫られています。百数十キロ離れた場所に移住していく人たち、近くで、もっと高い場所に家を建てる人。遠くに行くことを拒否したビンアイたちには、水も電気もない山の上しか選択肢が与えられません。断固拒否を続けるビンアイ……。
うううぅ、役人たちとビンアイ達とのすごいやりとりが何度もあります。また、村人達の話し合いもすごい! 皆ひたすら言いたいことを言いまくるんです。
なんだかんだ言って、皆、結局は役人達のいいなりになってしまいます。そして、ついにビンアイも立ち退きの念書を書かされてしまいますが……。
絶体絶命の状況ですが、ビンアイの粘りはすごいです。ぜひ作品をご覧になってください。役立たずの夫(失礼!)と子どものために、信じられない力を見せるビンアイに感動しました。普通、捨てて逃げ出しますよ……。もっとも夫もダメなりに一生懸命仕事をし、愛情を示すんです。二人で一緒に草刈りをするときの姿に胸をうたれました。
弱気なときの表情、流産や中絶の話をするときの表情、また、「結婚してから恋愛が始まったんだ」と嬉しそうに語る表情、……それらも忘れられません。今回の映画祭で観た映画の中で一番よかったです。
監督インタビューがシネジャのサイトで読めます。最近のビンアイさんや家族の様子もわかりますよ:
http://www.cinemajournal.net/special/2009/binai/index.html
- 犬と猫と人間と
(2009/11/23, シネマクレール丸の内):
捨てられた犬や猫のことを扱ったドキュメンタリー映画です。公式サイトでは予告編も見れます。
で、予告編だけで見た気になる人もあるかもしれませんが、本編を見ると正視に耐えないようなシーンも出てきます。「避妊手術」なんていうのも口で言うだけなら簡単ですけれど、実際それを見るとイタイ!! 殺処分されていく姿は、さらにイタイ!!!!
写真家の方の撮影した猫たちの目がすごかったです。心に突き刺さってきます。
自分は犬も猫も飼ってないから、関係ないよ、とか思わないでぜひぜひ見て欲しい映画でした。
民間の愛護団体で保護した犬の「しろえもん」や、その団体に遊びに来る野良猫の「にゃんだぼ」は可愛くて忘れられないです。
- 銭ゲバ
(2009/11/25, シネマクレール丸の内1):
内山下映画愛好会の主催による上映会。
1970年の作品。原作はジョージ秋山の漫画です。主演は唐十郎と緑魔子。陰惨な話なのはわかっていましたが、この二人が出ているのでは逃すわけにはいきません。
で、……二人とも若い! 40年近く前ですからね! 唐十郎が30歳、緑魔子さんは26歳! 綺麗でした……。
建設中の京王プラザホテルがうつっていました。そして、それを見上げる場所に土管が!(いや、鉄管かな?) 時代を感じさせます。
- 笑え
(2009/11/28, 岡山市デジタルミュージアム講義室):
今日は岡山映画祭のクロージング企画「岡山映像祭2009」のうち3作品を、岡山市デジタルミュージアム4F講義室で観ました。
朝一番に観た最初の作品は太田真博監督の『笑え』。上映10分ぐらい前に会場に着いたのですが、まだ開場していませんでした。ロビーなどにある椅子に腰掛けている人がけっこうあったので、おっ、開場を待ってるな! と思ったのですが……、他の企画展示の開館を待つ人たちだったようで、中にはいったのは何というか若干名……最前列に座っておられたのは次の映画の監督さんだったし(笑)、ひぇ〜っ、という感じでした。でも、これが大当たり。面白かった〜。内容は『2008年夏、神戸。「舞台・阪神淡路大震災」千秋楽前夜。舞台出演者達が雑魚寝する宿で、被災経験のある役者と、被災経験のない役者たちが、ひたすらモメまくる一晩の物語」ということです。ほとんど宿の一室で話が進みます。『キサラギ』みたいな感じかな。『サマータイムマシン・ブルース』の感じのノリで始まり、最初は会話のテンポについて行けませんでしたが、坊主頭の大男とが風呂から出てきてドライヤーを使うところで、まず小爆笑(^^)。で、すっごくいやな雰囲気の被災経験者が出てきてから、ぐんと緊張感が高まるんです。最初は他の役者を圧倒するパワーを見せるんですが……滝藤の逆襲で一気に形勢逆転☆ などと書いても会話の面白さはわからないので、ぜひぜひどこかでご覧下さい。腰砕けのラストもなかなかいいです。なんと撮影自体は11時間で済ませたそうです!
- 己が魂のために
(2009/11/28, 岡山市デジタルミュージアム講義室):
中島裕作監督は、大阪を拠点とする Jesus Film という団体で、若者向けのインディーズなヤクザ映画を作っておられるようです。
ありがちな感じのストーリー展開ですが、エンタテインメントに徹して、どうどうと突っ走ります(笑)。ヤクザものとSFをミックスするのが得意だとか……。今回の作品も何気なくタイムパラドックスな要素が入っているので要注意☆
ヤクザな役者さんはなかなかリアル(って、本物を知っているわけではないですが)。コワそうでした。
- 円明院〜ある95才の女僧によれば
(2009/11/28, 岡山市デジタルミュージアム講義室):
さて、三本目は期待の『円明院〜ある95才の女僧によれば』。タハラレイコ&上杉マックス幸三さん夫妻による共同監督作品です。おふたりはニューヨーク在住ですが、父親の死と葬式をきっかけに、マックスさんのふるさと・岡山県玉野市の「円明院」という寺の尼僧・貞純さんのドキュメンタリーを撮ろうということになります。インタビューを重ねても、なにか本当の姿に触れていないと言う思いを持つままに一旦撮影を終了してアメリカに戻ります。そして、映画の完成を待たずに尼僧は亡くなるのです。この後が凄い! 監督さんたちは後を継いだ清純さんを通して、貞純さんのことを新たに探り始めるのです。この清純さんが、見ていて胸が痛くなるほど、清らかなんです。貞純さんは清純さんとは違って、強い人でしたが、高野山の尼僧たちへのインタビューなどを聴くうちに、彼女たちに共通する敬虔な姿に胸をうたれました。仏教の世界というのは、男の世界なんです。力を持っている男たち……彼らは妻をもち、子を作り、そして寺を子に残していくのです。それは親として自然な姿ですが、僧侶ってそれでいいのか……という気持ちがだんだん強くなってくるんです。そうそう、唐十郎の『盲導犬』という芝居で、「思えば、ぼくは男の尼になったのかもしれません」というせりふがあります。男の尼! ここは「坊さん」じゃダメなんですね。
ミステリーを読むような感覚も味わえるドキュメンタリーです。
シネマジャーナルのサイトに監督お二人へのインタビューが掲載されていますので、どうぞ!
http://www.cinemajournal.net/special/2009/enmyoin/index.html
この記事は、インタビューした泉さんからいただいた原稿をぼくがhtml化の作業を行ったものです。ただ、未見の映画のことをあまり知りたくなかったので、中身はあまり読まずに掲載しました。今日、読んでみて、もう一度見てみたくなりました。(翌日も観に行きました)
- ふたりだけの同窓会
(2009/11/29, 岡山市デジタルミュージアム講義室):
同じ一人の女性を愛した親友二人とその女性の娘の話。二人の「父親」の気持ち、娘の気持ちがとてもよくわかる優しい映画でした。ただ、冒頭で、結婚を前にした娘が父親の蒲団に入ってきて一緒に眠るというのがありえない話で引いてしまいました。気色悪すぎるよ〜。
- 勝子
(2009/11/29, 岡山市デジタルミュージアム講義室):
心臓病のため、田舎でひっそりと暮らしている女性が、あるとき小学校時代にお互いに密かに好きだった同級生と出会い、恋心がふくらんでいき、思い込みの激しさでだんだんストーカー気味になり、精神の平衡が崩れていく様子が淡々と描かれてコワイです。バレエの衣裳を着て現れるシーンにはほんとにギクッとしました。逃げ出す男も冷たいし……。またなにかの装置の管をカッターで切るシーンも凄かったです。でも、監督さんは優しい方……新しい生活への出発を暗示して映画が終わります。
- 岡山の娘
(2009/11/29, 岡山市デジタルミュージアム講義室):
知っている場所がいっぱい出てくるので、それを観ているだけでも面白い映画。ただし、内容は、やたら詩が出てきて(監督は詩人なんです!)ちょっと退屈。登場人物にもイマイチ共感しにくい映画でした。
- テレコの日 2009 ―プラネコリウム―
(2009/11/29, 岡山市デジタルミュージアム講義室):
数分程度の短篇をいくつかまとめた作品。尺取り虫やカマキリをすごいアップで観察したりして、とっても面白かったです。ゆるいアニメもなかなか。一篇、うまく上映できなかった作品があって残念でした。
- シャーマン
(2009/11/29, 岡山市デジタルミュージアム講義室):
山本監督が自分が受けた「映画を撮れ!」という天からのお告げを、フィクションの形で描いた作品。ドキュメンタリー映画『精神』でおなじみになった方も出ていて、クスクスッと笑えたのですが、それ以上のインパクトは受けませんでした。朝から映画を観すぎて、疲れてきたのかな。