[目次]
面積・第一基本量・第二基本量・ガウス曲率
曲面のパラメータ表示が与えられたとします:
p=p(u,v) (u,v)∈ D ⊂ R2
v を固定すると、p=p(u,v)は u をパラメータとする曲線になります。 これをu曲線といいます。逆に、u を固定すると、 p=p(u,v)は v をパラメータとする曲線になります。 これをv曲線といいます。
u曲線の接ベクトルpu(=∂p/∂u)や v曲線の接ベクトルpv(=∂p/∂v)は、 ともに曲面の接ベクトルにもなっています。 pu(a,b)とpv(a,b) が 一次独立と仮定しましょう。するとこのふたつのベクトルは p(a,b)における曲面の「接平面」の基底で、 ベクトル積 pu(a,b)×pv(a,b) は 「法線ベクトル」を与えます。
ν(a,b)=pu(a,b)×pv(a,b) /|pu(a,b)×pv(a,b)|を 単位法線ベクトルといいます。
パラメータ表示を与えることは、曲面上に「座標」(u, v) を導入することに他なりません。 例えば地球が半径1の球面であり、3次元空間の中で x2+y2+z2=1 という方程式で与えられているとします。 z軸の正の部分と球面の交点が北極、z軸の負の部分と球面の交点が南極と考えます。 z=0 の部分が赤道になります。 この球面の上の「座標」として、緯度 u と経度 v をとることにします(角の単位はラジアン)。 ただし、緯度 u は赤道上で0 、北極で π/2 、南極で -π/2とし、 経度 v は (1,0,0) の地点で 0 で、東に進むと大きくなり、西に進と小さくなるものとします。 -π/2≦u≦π/2、-π<v≦πの範囲で考えます。 このふたつの数値が与えられれば、球面上の1点が定まります。 残念ながら、北極と南極では経度 v が定まりませんが、あまり気にしないことにします。 ともかく「座標」(u,v) をもつ点は空間の座標を用いて表すと
p=(cos u cos v, cos u sin v, sin u)
となります(下図参照)。
u曲線は、v を固定してえられる曲線ですが、v を固定するということは経度を 固定するということですから、得られるのは同じ経度を持つ点たち、すなわち ひとつの経線(半円周)になります。
v曲線は、u を固定してえられる曲線ですが、u を固定するということは緯度を 固定するということですから、得られるのは同じ緯度の点たちの作る曲線、 すなわちxy平面に平行な平面で切った円周になります。
講義ではさらに一般に回転体のパラメータ表示の作り方を解説しました。
Dはuv平面の中の領域であり、p:D → R3 は ある曲面のパラメータ表示であるとします。
この曲面の面積 A は次の積分で与えられます:
A = ∬D| pu×pv |du dv
| pu×pv |du dv を dA とかき、 面積要素と呼びます。
定義:第一基本量 E, F, G を次のように定めます:
E = pu・pu
F = pu・pv
G = pv・pv
このとき、 | pu×pv | は √(EG-F2) と等しい(プリントNo.1, 3(7))ので、
dA = √(EG-F2) du dv
A = ∬D√(EG-F2) du dv
と表現することもできます。
(u,v)の動く範囲が長方形 D={(u,v) | a≦u≦b, c≦v≦d}であるような場合には、
∫cd{∫ab | pu×pv |du }dv
∫ab{∫cd | pu×pv |dv }du
のようにして計算することができます。
さらに、第二基本量 L, M, N を次のように定めます:
L = puu・ν = - pu・νu
M = puv・ν = pvu・ν = - pu・νv = - pv・νu
N = pvv・ν = - pv・νv
ガウス曲率 K を次のように定義します:
K = (LN-M2)/(EG-F2)
演習
演習プリントNo.3の1をやりました。 8のパラメータ表示を土曜日までの宿題にしました。 欠席の場合は友達に預けて提出してもらうか、直接研究室に持ってきてください。