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空間の曲面のパラメータ表示・面積

○空間内の曲面を数式で表現する方法として、まず、方程式
   F(x,y,z) = 0
によるものがあります。曲面が関数の
   z = f(x,y)
のグラフになっている場合も
   z - f(x,y) = 0
と書けるので、その特殊な場合と見なせます。
○もうひとつ、パラメータ表示によるものがあります:
   p=p(u,v)   (u,v)∈ D ⊂ R2

例: z = f(x,y) のグラフの場合は、 x=u, y=v とおけばパラメータ表示 p=(u,v,f(u,v)) が得られます。例えば z = x2+y2 の場合は、 パラメータ表示はp=(u,v,u2+v2) です。これを Maxima で描画したものが次の画像です:

z=x2-y2の場合は次のようになります:



例:方程式が□2+□2=1 とか □2-□2=1 の 形のものは、三角関数や双曲線関数を利用することができることを球面を例にとって説明しました。 方程式 x2 + y2 + z2 = 1 で与えられる単位球面の場合には、 この方程式をまず
   (√{x2 + y2})2 + z2 = 1
と変形します。そして
   √{x2 + y2}= cos u   (1)
   z = sin u
と置きます。(1) から x2 + y2 = cos2 u が得られますが、 さらに両辺をcos2 u で割って、
   (x / cos u)2 + (y / cos u)2 = 1
と変形します。そして、
   x / cos u = cos v,   y / cos u = sin v
と置きます。以上により、パラメータ表示
    x = cos u cos v, y = cos u sin v, z = sin u
が得られます。この変形を幾何学的に解釈すると次のようになります。
パラメータ表示を与えることは、曲面上に「座標」(u, v) を導入することに他なりません。 半径1の球面 x2+y2+z2=1 を地球と考えてみましょう。 z軸の正の部分と球面の交点が北極、z軸の負の部分と球面の交点が南極と考えます。 z=0 の部分が赤道になります。 この球面の上の「座標」として、緯度 u と経度 v をとることにします(角の単位はラジアン)。 ただし、緯度 u は赤道上で0 、北極で π/2 、南極で -π/2とし、 経度 v は (1,0,0) の地点で 0 で、東に進むと大きくなり、西に進と小さくなるものとします。 -π/2≦u≦π/2、-π<v≦πの範囲で考えます。 このふたつの数値が与えられれば、球面上の1点が定まります。 残念ながら、北極と南極では経度 v が定まりませんが、あまり気にしないことにします。 ともかく「座標」(u,v) をもつ点は空間の座標を用いて表すと

   p=(cos u cos v, cos u sin v, sin u)

となります。これが上のパラメータ表示に他なりません。

さらにxz平面上の曲線がパラメータ表示
    x = f(u),  z = g(u)    (a ≦ u ≦ b)
で与えられているとして、この曲線をz軸の周りに一回転して得られる曲面のパラメータ表示が
    x = f(u) cos v, y = f(u) sin v,  z = g(u)    (a ≦ u ≦ b)
で与えられることを確かめました。 演習でもっと色んな例を扱おうと思っています。

グラフ描画ソフト

曲線や曲面を描くのに、便利なソフトがいくつかあるので紹介します。
Maxima
微積分の計算やグラフの描画にとても便利です。
Maxima - KnmxWiki に色んな情報があるのでたどってみて下さい。 具体的には、次のことを実行して下さい。
  1. http://maxima.sourceforge.net/から Windows用のファイルをダウンロードし、そのファイルをダブルクリックしてインストールします。
  2. インストールしたフォルダ(普通なら C:\Program Files\Maxima-5.X.X)の中の binフォルダに wgnuplot.exe というファイルもあるので、そのショートカットをデスクトップに 作成します(Gnuplotというグラフ表示ソフトです)。
  3. リンク集で紹介されている中川さんの「Maxima 入門ノート」(maxima.pdf) をダウンロードして、適当なフォルダに保存して、いつでも読めるようにします。
あとは入門ノートを読んで、色々試して下さい。 なお、Gnuplot を初めて起動すると、字がつぶれて読めませんので、左上スミの 小さいアイコンを左クリックして、「Options」→「Choose Font」でフォントサイズが 9になっているのを10程度に増やして、読めるようにします。 設定を変更したら、同じ Options のメニューから保存可能ですので、保存しておきます。 例えば Akira Nishimura さんの Windows版 Gnuplot の使い方を見れば、丁寧な説明があります。

Risa/Asir
陰関数表示された曲線を描画するのに最適です。
  1. Risa/Asir(神戸版)ダウンロードページから日本語版の asirwin-ja.exe をダウンロードし、実行します。
  2. asir というフォルダができるので、それを C:\Program Files に移します。
  3. そのフォルダの中に asirgui.exe というファイルがあるので、そのショートカットを デスクトップに作成します。
  4. そのアイコンをダブルクリックして、起動します。
  5. 例えば x3+xy2-2y2=0 を描画したければ
      ifplot(x^3+x*y^2-2*y^2);
    と入力します。


大学のパソコンなど、勝手にソフトをインストール出来ない機械で、 Netにつながっていて、CD−Rの読めるものならば、 Knoppix/MathのCDでパソコンを 起動することにより上記のソフトが使えるようになるかもしれません。 詳しくは Knoppix/Math を参照して下さい。

曲面のパラメータ表示が与えられたとします:

   p=p(u,v)   (u,v)∈ D ⊂ R2

v を固定すると、p=p(u,v)は u をパラメータとする曲線になります。 これをu曲線といいます。逆に、u を固定すると、 p=p(u,v)は v をパラメータとする曲線になります。 これをv曲線といいます。

u曲線の接ベクトルpu(=∂p/∂u)や v曲線の接ベクトルpv(=∂p/∂v)は、 ともに曲面の接ベクトルにもなっています。 pu(a,b)とpv(a,b) が 一次独立と仮定しましょう。するとこのふたつのベクトルは p(a,b)における曲面の「接平面」の基底で、 ベクトル積 pu(a,b)×pv(a,b) は 「法線ベクトル」を与えます。
ν(a,b)=pu(a,b)×pv(a,b) /|pu(a,b)×pv(a,b)|を 単位法線ベクトルといいます。

Dはuv平面の中の領域であり、p:D → R3 は ある曲面のパラメータ表示であるとします。 この曲面の面積 A は次の積分で与えられます:
    A = ∬D| pu×pv |du dv
| pu×pv |du dv を dA とかき、 面積要素と呼びます。(講義でウソを言いましたので訂正します)

演習

つるまき曲線の曲率や捩率を計算しました。公式を用いた別解をレポート課題としました。