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■幾何学II
今回は連結和という操作を用いることにより、 非常に多様な曲面を作ることができることを学びました。 しかし、けっこう雑にとりあつかったので大きな問題があります。 それについてコメントを書いておきます。
我々は、教科書に2種類載っている定義の内、後の方の定義を用いました。 復習すると、ふたつの閉曲面に、それぞれ小さな丸い穴をあけ、 その縁に沿って貼り合わせたものを、二つの閉曲面の連結和と呼びました。 問題点というのは、
という二つのことです。
- 穴をあける位置によって出来る図形が変わるのではないか?
- 穴を貼り合わせるやり方には、向きを考えると2種類あるが、 貼り合わせ方によって出来る図形が変わるのではないか?
まず、最初の問題について考えます。 教科書の定義では「閉曲面」として「連結」なもののみを扱うことになっています。 考えようと思えば、「連結でない」閉曲面というものを考えることもできます。 そのような閉曲面の場合、複数ある連結成分のうちのどれとどれをつなぐのかによって、 結果が変わることがあり得ます。 連結な閉曲面の場合、次の「円板定理」が成りたちます: 「(連結な)閉曲面の中の二つの円板が与えられたとき、 一方を連続的にずらしていくことにより、他方に重ね合わすことができる」。 これにより穴の位置はどこでもよいことがわかります。
次に2番目の問題を考えます。こちらはいささかやっかいです! というのは、連結和というのは、それぞれの図形に「向き」をつけてから実行するのが普通なのです (ここでいう「向き」は通常使われる「多様体の向き」と若干違いますのでご注意!)。 「向き」をつけるというのは、貼り付けるための「穴」を、実際に 標準的な単位円板 D2 からその閉曲面への「埋め込み」として指定することです。 連続的に変形して移りあうような埋め込みは「同じ向き」を指定するものと考えます。 例えばメビウスの帯に「向き」を与える方法はひとつしかありません。 また球面にはふたつの「異なる向き」があります。 ふたつの閉曲面それぞれに向きを指定したとき、 その向きが自然に誘導する「穴のふちの向き」が逆になるように貼り合わせると決めることにします。 これならば問題は起こりません。ただ閉曲面の場合、向きの付け方をかえても、 できる閉曲面は同じになってしまうのです。教科書で向きのことがあまりしつこく書いてないのは そのせいなのです。
では、連結和が閉曲面の向きによらないことはどうやって示せばよいのでしょう。 簡単に思いつくのは、「閉曲面の分類」(これから習います)を用いる方法です。 ちょっと考えてみたのですが、他にいい方法が浮かびません。簡単な方法があればぜひ教えてください。
■幾何学演習II
位相空間、商空間について勉強しました。